【競馬コラム】「ハイペース」「スローペース」に物申したい

競馬ペース,競馬

前傾戦と後傾戦をごっちゃにするから混乱が起こるんだよな、て話である。

というわけでまずは定義をはっきりさせたい。

ハイペーススローペース。競馬をしていれば誰しも一度は耳にした言葉だろう。

曰く、ハイペースは速いペース。前にいる馬の負荷がかかり、後ろの馬が有利になりやすい。

曰く、スローペースは遅いペース。どの馬の負荷もかからないので、余力を残しつつ位置の利がある前が有利になりやすい。

多少言い方や考え方は異なるだろうが、大体こういう理解だろう。

それを否定する気はない。もちろん例外(ハイペース前残りとか)も数多く存在するが、概ね合っている。

問題はその判定基準だ。

そのハイペースとスローペースをどう判断しているか?

私はラップの数字で判断している。人によっては前半と後半のラップ差で判断している。ほかにも定義があるかもしれない。

実は〇〇ペースという言葉は、ここの判断基準がかなりあやふやな概念だったりする。

具体例を出そう。

先日開催された高松宮記念。このレースは1:06.3のレコードを記録し、ラップタイムは以下のような形になっていた。

12.1 – 9.8 – 10.6 – 11.1 – 11.6 – 11.1

前後半3F32.5-33.8

このラップを見てハイペースかスローペースか考えるなら多くの方はハイペースを選ぶと思う。ここまではいいだろう。

ただ、今年の高松宮記念は逃げ馬が単騎で後続を大きく離していたことは記憶に新しい。これを見た人間の一人が、2番手以下は大体前後半33.2-33.1ぐらいの推移だった、と述べていた。

これに関してもまあ多少の前後はあるだろうが、概ねその通りだと私も思う。

では、ここで判断基準の定義を思い出してほしい。

私はラップタイムで考えるが、人によっては前後半のラップ差で判断する。

すると何が起こるかというと、私は2番手以下も含めて間違いなくハイペースと判断するが、前後半のラップ差で考える人間はスローペースと判断するのだ。

別に間違っているわけではない。定義的に考えればその通りでもある。

問題は、「この高松宮記念をスローペースと判断していいのか」である。

読者の方々はどうだろう?

ちなみにその2番手以下が33.2-33.1云々を言ってた人間は実際に「ドスロー」と断言していた。

いくら短距離戦にしては前半が遅めとはいえ、2番手以下でも平均11.1のラップを計時し、前半2Fで10秒を切ってるレースに「ド」をつけるのは乱暴だと思うが。

しかし、判断基準があやふやだと、こういう食い違いが起こる。ちなみにその発言をした人間は案の定「ドスロー」判断した言説や横暴な言い方などの要因が重なりプチ炎上していた。

口が悪い私も明日は我が身と気を引き締める思いだ。

それはさておき、こういった事態を避けるために、定義はしっかりしておこうという話だ。

そもそも読者の皆様は馬の芝での平均走行速度をご存知だろうか?

賢明な方は時速60kmと即答するだろうし、さらに話がわかる方なら、だから「ラップタイムは1F12.0」が基準まで語ってくださるだろう。

そう、そもそも馬は1F12.0付近で走る生き物で、しかも12.0でも結構速い方なのだ。

スプリンターなら確かに11秒台の推移で走ってはくるが、11秒前半ともなるとかなり苦しい。

じゃああなたは限界以上の速度で走り続けるレースをスローペースだと言えるのか? て話でもある。

それをスローペースというなら、まあそういう性癖なんだろうな、ということでそっとしておく。多分短距離走に向いてるからオリンピック目指してウサインボルト倒してきてくれ。まだいるかシランケド。

まずは数字上の定義から語っていく。

ハイペースは速いペーススローペースが遅いペース。これはいいだろう。

年々競走馬のレベルが上がり、ラップの基準も引き上がってきたと感じているが、それでも平均は12.0から11.8あたりへの推移だと感じている。この辺は各々の判断基準に任せたい。

2000mなら前半1000mが59.0付近からハイペース、60.5付近からスローペースぐらい、その間がミドルかな、てのが私の中での定義だ。

だから私の中で前半5F58.9の皐月賞はハイペースである。

でもラップ差の方は絶対スローペースと断言するだろうな。

それだとハイペース、スローペース理論で食い違う。この問題を一発で解決する、いい競馬用語を冒頭で話した。

前傾戦」と「後傾戦」だ。

前傾戦とは、前半と後半のラップ差を比べて、前半の方が速いレースを指す。後傾戦はその逆。

要はどいつもこいつもハイペースと前傾戦、スローペースと後傾戦がごっちゃになってるからややこしくなるのだ。

もうこの一言に尽きる。

具体例を指し示したように、どう考えてもこの二つは別物だ。

先日の皐月賞にしたって、あれもスローペースかハイペースか意見がわかれるのも当然。定義があやふやで、前傾戦、後傾戦という言葉を知らなければそりゃそうなる。

だが、個人的にはいいとこミドル、普通にハイペースなのだ。いやでもとか言うやつには、中山芝2000mのレイアウトも考慮しろとコース図を投げつける。高低差考えろ。馬場が良かったにしてもどう考えても速いわ。

さっき言ったように平均よりかなり速い速度で走り続けるレースをスローとは言えないでしょ。

ハイペース、スローペースは数字的、感覚的に。前後半のラップ差での判断をする際は、前傾戦、後傾戦と言葉を使い分けていくのがベターだ。

以上である。

ライター名「夜桜 ほとり」

バイオテクノロジー系の分野で大学院卒業後、何を血迷ったのかSEに転身。でもなんか違うと思い、競馬メディアの編集に。現在は編集を脱退、馬を中心としたフリーの物書きとして活動中。

※当サイトの記事で書かれている予想は、的中を保証するものでもありません。馬券は自己責任でお願いいたします。

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Posted by yosakura