【コラム】アランカールや北村友一騎手について思うこと
クラシックの距離適性問題
クラシック戦線では無理する側面がそこそこある。それをわかりやすく体現したものの一つとして「マツクニローテ」が挙げられる。
「マツクニローテ」とは時の調教師・松田国英師が提唱し、めちゃくちゃ簡単に言うと種牡馬価値を高めることを目的とした、NHKマイルC→日本ダービーのローテーションを指す。
中2週にして、1600m→2400mの距離延長を図るという今でもまあまあ無理があるトンデモローテである。
日本ダービーを勝てる+マイルで勝てる、となればそりゃ種牡馬としての需要は上がりまくるし、理にかなっている。しかし、馬はそうそう器用なものではないし、一昔前ならともかく、各路線の専門性が増した今日の競馬業界において、両部門制覇は半世紀に1頭レベルの素質がなければまず不可能だ。
それでも昔は(というか今でも)多少無理をしてでも距離を延ばしてダービーに出走させるケースが目立ったし、やはり馬主も人である以上、クラシックに夢を求める。無理やり適性より長い(or短い)距離に出走させるケースは往々にしてある。
具体的には牡馬なら2000m以上、牝馬なら1600mに適応させる。それぞれ第一冠の皐月賞、桜花賞の距離だ。
牡馬に関しては先ほど挙げた日本ダービーを目指す無理筋があるし、その過程の皐月賞だってマイラーなら対応できなくはない。2024年のジャンタルマンタルなどが好例だし、今年ならリアライズシリウスやカヴァレリッツォなどもこのパターンにかなり近い。
いずれも距離を試す上で必要な挑戦なのだ。そのため挑戦して失敗しても本線に戻せる融通の利くレース選択をしているのだ。
一方牝馬はどうかというと、王道なのは本来マイラーの馬を桜花賞になんとか出走させて、そのままオークス仕様に仕上げるパターン。
これが失敗になるケースはソダシのように短いところに適性があるタイプぐらい。なんだかんだ牝馬は距離適性が短い馬が多いので、オークスにいっても全員がバテる消耗戦になるだけ。意外にマイラーでもなんとかなるのだ。
牝馬の距離事情
問題は、もともと一周競馬に適性がある馬の方。この手の牝馬は札幌2歳Sに出た後、2歳秋~クラシック前半までろくに向いたレースがない。ほとんどが阪神JFや桜花賞のためのマイル以下のレースばかりで、マイルより長い距離だと牡馬との混合戦を選ぶしかない。
じゃあ出れるレースがなければどうするのかというと、無理やり距離短縮させて、桜花賞まではマイル戦に出続ける、という選択肢を取る。というか取らざるを得ない。賞金を稼げないから。
するとなにが起こるかというと、こういった馬たちは札幌2歳Sあたりまで好調だったものの、2歳秋~桜花賞あたりまで凡走を繰り返して人気を落とし、オークスで大穴を開けるパターンが出てくるのだ。
このパターンにピンときたらそこそこの競馬通かもしれない。
そう、少し前にオークスで大穴を開けたドゥーラだ。
実際ドゥーラはその後一周条件のクイーンSを勝つなど、マイルではなく中距離で成績を上げた。
無理やり適性外のマイルを走っていたせいで不当に評価を落としていただけだったのだ。
似たような経歴を持つ馬は今年もいる。それが先日のフラワーCを勝ったスマートプリエールなど。この馬もドゥーラと同じく札幌2歳S好走後は振るわなかったが、一周競馬に戻した途端に勝利した。チューリップ賞の敗戦は偶然ではなく、普通に短い、あるいはコース形態が合ってなかっただけである。
このように、本来適性距離がマイルあたりになりやすい牝馬でも、ちょくちょく一周競馬の方がいいタイプは出てくる。
ちなみにワンターンと一周のコースは以下のようになっている。


これらは普段でも使えるが、クラシック戦線だと特に重視した方がいい。同じ1800mでも競馬場によって求められる力が全然違うので当たり前だ。
そして今年はスマートプリエールだけでなく、もう一頭一周競馬の方が向きそうかつ、マイル戦で凡走が続いている馬がいる。
アランカールである。
スマートプリエールの母スマートレイアーが中距離重賞でも活躍していたように、アランカールの母シンハライトはオークス馬。マイルも対応できなくはないが、中距離に合っている血統だ。
しかもアランカール自身は見た感じ、トモができあがっていないので、スタート~二の脚が遅く、どうしても序盤はゆっくり行かざるを得ない。
そうでなくてもエピファネイア産駒を序盤からがつがつ行かせるべきでないのはここ数年で明らかだし、この馬自身も実際二の脚が遅い。ゆったり行かせた方が後半いい脚を使っているのもレースを見ていればわかるだろう。
私はここしばらく、現状のアランカールがマイルに向くはずは「絶対」にないと言い切っている。なぜなら序盤の流れが早くなりやすいマイル戦で、アランカールは普通についていけないし、ついていこうとしても脚がたまらないからだ。
よって桜花賞では切る予定。そしてオークスで再考しなければならないタイプだと思っている。まあそれでも現状の能力を見るに、オークスも足りるか怪しい気はしているが。
適性も合わなければ能力が足りてない可能性もそこそこある馬。正直誰が乗っても結果はそう大して変わらない。
ともかく、今のアランカールは無理に行かせるとよくないし、トモの成長を促さないといけない時期。むしろ北村友一騎手も武豊騎手も序盤で無理やり行かさないだけいい運びをしていると思うし、阪神JFでいわゆるやらかし、と言われている騎乗も私は必要なことだったと思っている。
北村友一騎手について
ここからが特に言いたいことなのだが、個人的になんで最近の北村友一騎手が叩かれているのか意味がわからん。そしてクロワデュノール関連を見ていても、他の競馬ファンも不必要に北村友一騎手に厳しすぎる。
アランカールに関して北村友一騎手がやらかしてると思う奴は、一度アランカール自身を見るべきだ。それから論理的に意見を述べてくれ。
叩いていたやつはちゃんとアランカールのパドック見てんのか? あの馬の全レースを映像とパトロールビデオからしっかり考察したのか? 北村友一騎手の阪神JFの騎乗は仮にミスとしても、それは致命的なものだったのか? それらを全部論理的に説明できないやつが北村友一騎手を批判するのは五億年早いと言わざるを得ない。
それらをしてなお、あの騎乗がまずかったといえる理論を自分の中で持ってるならそれも一つの意見だろう。否定はしない。しかし、明確な根拠なく批判してるやつは一度自分の考えを改めることをオススメする。
アランカールの騎乗が、とかクロワデュノールの皐月賞が、とか言って叩くのはお門違いというものである。先ほども述べた通りそもそもアランカールが足りてる馬かは現状、正直怪しいし、クロワデュノールにしたって十分結果を出している。なぜ叩くのか論理的に説明しろ、て感じである。
言いたいことは以上だ。
ライター名「夜桜 ほとり」
バイオテクノロジー系の分野で大学院卒業後、何を血迷ったのかSEに転身。でもなんか違うと思い、競馬メディアの編集に。現在は編集を脱退、馬を中心としたフリーの物書きとして活動中。
ドゥーラやスマートプリエールは、個人的にはここぞというところで買って勝たせてもらってるので感謝感謝である。
どちらもチューリップ賞とかではしっかり消してるのはそういうことである。願わくはアランカールもオークスで爆発してほしいところだが、どうにも能力的に足りてるか疑問だと思ってる。正直成長待ちの素材だと思うが。



ディスカッション
コメント一覧
逆に聞くが、阪神JFのレースラップみたのか?
ジョッキーカメラみたのか?
スタートが五分に出たのに「わざわざ腕を引いて」抑えたのは見たのか?
斎藤調教師がレース後に何て言ったのか見たのか?
何一つ反論できてないで何言ってんの?
コメントありがとうございます。
ただ、これに関してもそれこそレースラップ見たのかを聞きたい。
以下がアランカールの出走レースのレースラップ。
新馬 13.0 – 12.2 – 12.5 – 13.0 – 12.5 – 12.1 – 12.0 – 12.1 – 12.6
野路菊S 12.6 – 11.5 – 11.7 – 12.1 – 11.7 – 11.2 – 11.2 – 11.5
阪神JF 12.4 – 10.5 – 10.8 – 11.6 – 12.0 – 12.0 – 11.4 – 11.9
ついでにチューリップ賞も出す。
12.5 – 11.3 – 12.2 – 12.6 – 12.1 – 11.3 – 10.7 – 11.6
それだけ言うからにはもちろん初戦、2戦目もご存知かと思うが、このペースでもアランカールは序盤馬群についていけていない。
二の脚が遅い証拠と言ってもいいと思うが、これには反論の余地は果たしてあるだろうか?
その上で阪神JFのラップはかなり速い。例年を考えれば、良馬場ならおそらく桜花賞もこれに近いラップになるだろう。
阪神JFでのアランカールにとってはこのラップが速すぎるから引いている。と私は解釈している。
北村騎手の言葉を借りるなら、この馬のスタイルに則っているだけだ。
初戦、2戦目のラップでもついていけない馬が阪神JFのあのペースでついていけないのは明白だ。
そしてついていこうとすれば、この馬の持ち味の一つである末脚が使えないのも明白。
途中で上げたのは確かにミスかもしれないが、1番人気の馬があのまま何もしないのもミス騎乗だ。そもそもGⅠだしな。
レースラップに関してはこれで反論あるか?
そしてコメント的にジョッキーカメラと腕を引いた件について同義だと思うが、先述の通り、北村騎手はあくまでこの馬の良さを出そうとした結果だろう。
この馬にとってのペースとレースのラップにギャップがあっただけだ。わかりやすくいいかえればマイルの速いペースに合ってなかっただけだ。
だからオークスの方がまだ桜花賞より向く、と散々記事で書いたんだが、読んでないだろうか?
あとついでにエピファネイア産駒はがつがつ行かさない方がいいのは明らか、とも書いてるんだが、これも見えなかっただろうか。
北村友一騎手はだから抑えた面もあるし、先述の通りペースがこの馬にとって速
くないと見て引いたと考えれば辻褄は合う。調教師もあの競馬ではそりゃ止まると言っているだけである。実際そりゃ止まるし、そもそもこの馬にはマイルの流れが現状合ってないからこうなっている。
逆に、ペースが落ちたチューリップ賞はある程度この馬もついていけていたよな。
そこは成長だと思うが、桜花賞はさっきも言った通り(というかこの狭いスペースで2回は言わないと伝わらなそうだからあえて書いているんだが)、ペースがかなり速い。
ここについていけないと断じるのも決して不思議ではないと思うがどう思う?
チューリップ賞も桜花賞も(賞金面、クラブ事情もろもろ含めて)使わざるを得ないから使うだろうが、この馬の新馬からの競馬を見ていればマイルが合わないことは誰の目にも明らかだろう。
それも踏まえての距離適性からのクソ長い前置きをしているのもお気づきだろうか。
これだけ言って反論出来てないとか言われると困るが、果たしてどうか、ご確認いただきたいところだ。