【ネタバレなし】『アイの歌声を聴かせて』が絶対観に行くべき青春モノだった話
こんにちは。こんばんは。夜桜という者です。
今回は、今日観てきた『アイの歌声を聴かせて』の紹介をしようと思います。
もともと物語が大好きな夜桜なので、いつも書いてる競馬のコラムと同じ感覚で読んでいただけたら、と思います。競馬ネタを期待してた人、たまにこういうの挟むけど許してくださいorz
というのもこの映画、青春群像劇モノだと個人的に思っているのですが、非常に完成度と総合力の高いアニメ映画だったので、これは宣伝しないとな、と思いまして。
また、以下で紹介をしていますが、個人的に『この作品は青春群像劇だ』と感じているだけで、人によっては別物に感じる可能性もあります(それでもなお完成度は高いと思います)。
私は、この映画を『青春群像劇』だと感じている前提で書いておりますので、
先入観を持たずに映画を観たいという方は、ここで引き返してください。
しかし、efシリーズや、さくら荘のペットな彼女、ココロコネクトみたいな作品を青春群像劇だと思っている方は、以下を読んで先入観を持って観に行っても別に構わないと思います。
なぜなら先ほど申し上げた通り、この作品は青春群像劇として観れば100点満点の出来だったからです。
率直な感想
以下に、ネタバレがない程度に感想をまとめます。
・ストーリー、音楽、声優、テーマ、流れ等、全ての要素の完成度が高い。低評価する要素がない。
・青春群像劇に必要な要素が全て詰めこまれている。
・伏線の回収の仕方が非常に綺麗で、それでいてどんな人が見ても楽しめる。
まとめるとこんな感じです。それぞれの詳細は下で書くとして、
端的に言うと、控えめに見積もっても100点満点の出来でした。
強いて挙げるなら、本職の声優さんをもっと使ってやれ(もちろん半分以上は本職の方使ってますが)よ、というところぐらいしかネガティブ評価がないです。
ネタバレなし紹介
席を予約して、朝早くから映画館に足を運びました。
めちゃくちゃ眠い。なんなら普段出社する時間より早くに家を出ています。
映画を観た後に、割と尊敬している方と麻雀を打つ約束をしていて、それが楽しみで前日眠れなかったのもあります。
こりゃ鑑賞中に寝てしまうまである。座席について、序盤までそう思っていました。
今思うと、完全に油断していましたね。
なんかサマーウォーズとか竜とそばかすの姫みたいな始まりだなー、あ、そういえばAIの話なのかー、細田守監督をリスペクトしていたりするのかなー、という出だし。
でも、
映像の中で描かれる要素がわかりやすい。
演出や伏線っぽい描写、世界観の説明が画面内の情報からすっと頭に入ってくる。
キャラクターの性格がとてもうまく表現されていて、しかもリアリティーがあって掴みやすい。
眠かった頭がだんだんと冴えてくる感覚。
気づけば、私はやや眠いながらも画面を凝視していました。
そして人型AIであるシオンが転校してくる。
この子が「お前、適合者かよ」ってレベルで急に歌う系のぶっとんだキャラクターなんですけど、それが学校の音楽室から走り出し、両手を精一杯広げて飛び出した瞬間、私の眠気も完全に吹き飛んでいました。
なんだこの気持ちいいほどに完璧な青春群像劇は!
どのキャラクターにも思春期特有の悩みや葛藤がある。それがAIであるシオンを通して成長していく。
不協和音を乗せた「キャラクター」という五線譜にシオンというメロディーが走り、それが見事に調和していく様がとにかく綺麗。さらに伏線や演出がさりげなく、しかも無駄なく仕掛けられ、結末まで繋がっていくあの収束感といったら!
私、伏線モノ大好きなんですけど、それと同時に青春群像劇モノが大好きなんですよ!
efシリーズとか凪のあすからとかさくら荘のペットな彼女とか!
そりゃ刺さるのも当たり前です。
そしてなによりこの作品には愛や想いがたくさん詰めこまれている。
それが終盤間際に爆発するんですけど、そこがこの作品の一番の肝なんですよね。
いやもうほんと、青春群像劇に必要な要素が全て詰めこまれていますし、教科書と言ってもいいレベルの作品でした。
これを108分にまとめたのか。こりゃ90分タイマーのポンポさんだって楽しんで観られるんじゃないか?
というわけで、最初に書いたような感想になったんですよね。
ネガティブポイント? ないですよそんなの。強いて言えば後述する俳優起用の件ぐらいですよ。
あれのせいで危うく見逃すところでした。
私と同じ理由で見送っているアニメ好きは絶対いる。だからそんな勿体ないことにならないよう、ここで声を大にしてオススメしているんです。
少なくとも、睡眠時間3時間ぐらいだった人間の眠気が軽く吹き飛ぶぐらいには傑作です。
『アイの歌声を聴かせて』を観るきっかけの話
ラノベと漫画は、結構表紙買いするタイプ。
来期のアニメは、キービジュや予告PVで気に入ったものを見る。
私はそんな風に、感覚で物語を選んで、読んだり観たりするタチです。
初めて本作のCMを見たのは、確か少女☆歌劇レヴュースタァライトの劇場版を観に行った時。
あれもかなりレベルの高いアニメ映画で、2回ほど観に行きましたね。
話としては非常に面白いし、戦闘作画が素晴らしく、伏線・演出がお見事な作品なのですが、やはりその分複雑で、やや人を選ぶ作品でもありました。私はそういうバチバチに伏線が張り巡らされている作品大好きだから、OKでしたが。
スタァライトの話はさておき、本作のCMの初見感想は、「素直に面白そうな映画だな」。
大体この感覚を掴んで、ハズしたことがないんですよね。
ただ、1つだけ違和感があって、主演に俳優さんが選ばれている。
ここがネックだったんですよね。
話題作りに本職じゃない俳優さんを使うアニメ映画ってそこそこあるのですが、やはり私のようなアニメ好きには抵抗があるんですよね。
あ、一応先に断っておきますが、今回声を当てていらっしゃった俳優さん達は上手かったと思います。
きっと監督さんもそのキャラクターに合った声をしている俳優さんを当てたんだろうなと思いますし。
なのでこれから観る方は、本作の俳優さんについては安心して観に行ってください。
ただ個人的に思うのですが今回は結果的によかったですけど、
アニメ映画全体において、客寄せ目的の俳優起用はほんとに中途半端な手だからやめません?
だってアニメ好きは私みたいに「まーた俳優さん使うのかよ。棒読みしない? というか声優使えよ」て反応になりますし、
反対に普段アニメを見ない人は「アニメ映画? 好きな俳優さん出るけど、アニメでしょ? 幼稚だよね」てなることが多くて、
どちらにせよ、客寄せにならないと思うんですよ。
結局のところ効果があるのかは知らないですけど、アニメ映画はアニメ好きに見せて評価してもらい、そこから口コミで呼びこむ方が絶対効果高いと思うんですよね。アニメ好きってその作品が心に刺さると私みたいに声が大きくなるし。
実際、鬼滅の刃だってそうやって流行ったじゃないですか。入口は考えましょうよ、てほんと思います。
こういうわけで、私は一旦『アイの歌声を聴かせて』を見ない、という選択をしていました。
時は流れ、本作が公開された頃。
TwitterのTLで、映画マニアの方がなにやら気になるツイートをしていました。
なんでも、『アイの歌声を聴かせて』に考察勢がいるとのこと。
いや待てよと。あの映画、考察するタイプのアニメなの? 私は意外に思いました。
その方に確認したところどうやら本当らしく、私は心変わり。
どうやら感覚自体は当たっていたのかもしれない。
前述の通り考察系アニメなら、STEINS;GATEやケムリクサ、efシリーズなどなどが大好きな私です。
これは観に行って確かめねば、となりました。
持つべきは有識者です。TLの映画マニアの方、本当にありがとう。
見所
個人的には、サトミちゃん母娘のやりとりや、それぞれの挙動をよく見ていました。
でもこの作品は青春群像劇なので、主要なキャラクターである、
シオン、サトミ、トウマ、ゴッちゃん、アヤ、サンダーの6人がどんな人間で、どんな性格なのかをよく見ることが最初はオススメかな、と思います。
伏線とかよくわからないよー、という方。ご安心ください。
この作品は、そういう仕掛けがわからなくても十分感動できるという親切設計です。
スタァライトのように初見さんを振り落とすようなことはありません。むしろ超王道です。
名作の条件の1つは、大多数に簡単に受け入れられることだと個人的に思っていて。
鬼滅の刃はその条件を満たしていました。
そして本作もその条件を満たしています。
だから手放しに勧められるところがあります。
伏線的なところで言うと、『ムーンプリンセス』という作中内の作品がお見事って感じ。
私はアホの子なので気づかなかったのですが、パンフを見て、ああ、だからそういう結末なのね、となりました。この結末もうまいこと伏線が敷かれていて、マジでスマートなんですよ。
ちなみに本作、やはり青春群像劇なので、子供と大人の対比という場面が出てきます。
ここで大人ガバガバじゃん、て思う方がいそうなんですが、私はそれでいいと思っています。
なぜならこれは青春群像劇だから。悪役がガバガバなのは構わないじゃないですか。
ダイの大冒険とかドラゴンボールみたいな、ガチガチの戦闘作品なら悪役は隙が無い方が絶望感増していいんですけど、青春群像劇はそこが主題じゃないから別にいいと思うんですよね。
本作のここが好き
・音楽
全曲好きです。もう何を言ってもネタバレになっちゃうので、ここでは控えます。
・キャラクター
主要6人はみんな大好きなんですけど、
特に好きなキャラクターはアヤちゃん。もしかしたら少数派かも?
共感するという意味ではゴッちゃん。いやもう共感の嵐なんですよ。
この作品の肝になるキャラクターは間違いなく、シオンとトウマ。
この2人が、本作の不可能を全て可能にする魔法使いです。そういうキャラクターも大好きなんですよね。
普段アニメ見ないって人はサンダーが好きそうだな。
ちなみに、この作品にはいわゆる百合要素も多分にあります。
でも百合厨の方、落ち着いてください。男がいるからと敬遠しない方がいい。
見方によっては確かに男は邪魔です。でも本作は青春群像劇。そこを忘れないでいただきたいです。
・演出
とある場面でネジが落ちている描写があるんですけど、アレがストレートで好きです。
うまいなあ、てなります。ここに気づく人は自分で言うのもなんですけど考察アニメ大好きでしょうね。
最後に
いやいや、お前手放しで絶賛しすぎでしょ、評価甘いんじゃない? と言われそうですが、
私は時にヘイトを買っても仕方ないぐらいに辛口評価をする方です。
例えば鬼滅の刃の無限列車編がその主な例ですね。
アニメ版では、どの鬼もそれなりのバックグラウンドがありながらも様々な悪行をしているんですが、それでも主人公の竈門炭治郎が何かしらの救いを与えつつ悪を成敗する、というストーリーがテンプレで、それが斬新でよかったんですよね。少なくとも一期は。
でも映画ではただの勧善懲悪のストーリーだった。いやアンパンマンかよと思いましたよ。
しかも最後は、味方側の煉獄さんが、ドラゴンボールみたいな死闘を繰り広げ亡くなってしまうのですが、一般的にはどうやらそこが感動ポイントらしい。
でも私は、柱合会議で会ったのと、列車の中で少し話して後は寝ていただけの炭治郎が、そこまで煉獄さんに感情移入できないよね? ってなって、あまり感動できなかったです。まあこっちは主題じゃないし別にいいんですけどね。
ただ私の感覚では、その辺でちょっと知り合っただけのベジータが、死闘の末フリーザ様に倒されただけにしか見えなかったんですよね。そりゃ感動できるわけがない。
炭治郎の家族周りのエピソードはよかったので、そこではホロリとしたんですけどね。
他の要素では、戦闘作画はさすがufoだから素晴らしかったし、楽曲も迫力あって好きだったんですけど、ストーリーとの相性が悪かったな、という感じ。
だからアニメの鬼滅の刃は好きだけど、無限列車編は好きじゃない。
なんにせよ、アンパンマンとドラゴンボールをやるだけで興行収入がすごいことになるんだから、普通の作品でもトレンドと話題だけで売れるんだなあ、と残念に思ったのは確かです。
ほら、わりと辛口じゃないですか?
そんな辛口派の私がこれだけ手放しに大絶賛しているの、なかなか珍しいんですよ。いやほんとに、爽やかな青春群像劇がお好きな方、絶対に、絶対に、『アイの歌声を聴かせて』を観に行ってください。
上映期間はわからないので、早めに観に行きましょう。
必ずやあなたの期待に応える作品が、アイと想いと青春が詰まった最高傑作が待っていますよ!
最後に一言。作中に何度も出てくる、「サトミは今幸せ?」。
このセリフがSTEINS;GATEの「エル・プサイ・コングルゥ」並みに見方が変わるとは思いませんでした。
これが一番の感想でしょう。
以上です。
by 勢いあまってパンフレットまで買った夜桜 ほとり(2021/11/16)
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