【朝日杯FS振り返り】阪神競馬場の芝事情がもたらした各騎手の思惑と明暗
こんにちは、こんばんは。夜桜という者です。
今回は朝日杯FSの振り返りとともに、馬券反省会も行います。
とは言っても、今回は騎手で明暗が分かれてしまったな、という結論に終始しますが笑
朝日杯FS、決着
レース結果は以下の通りです。
https://race.netkeiba.com/race/result.html?race_id=202109060611&rf=race_list
レジェンド武豊Jが見事に全G1制覇(障害レース以外)に王手をかけましたね!
ドウデュース、武豊J、おめでとうございます。
レースとしては、逃げ馬が多かったこともあり、ハイペースで縦長の展開。
最終的には外差し勢が台頭した、という形になりました。
今の阪神競馬場ならこうなるでしょうね。
詳細は次の項でお話しします。
阪神競馬場の芝事情
当日の阪神の芝の状態です。
芝
先週とは異なり、内回りと外回りでほぼ傾向は同じ。
① パワー馬場。
② 連対した馬のほとんどがミスプロ系やNorthern Dancer系。
➂ やや時計が出る(外回りのみ)。
④ ND系のクロスはほぼ必須。
⑤ ミスプロも混ざるとさらに良い。
⑥ 断然外差し(反対に、内はラチ沿い含めほとんど伸びない)
直前の阪神10Rなんてかなり露骨でしたが、
とにかく内ラチから10頭分以上、外を回さないと伸びない馬場になっていました。
今回はこの馬場がテーマになります。
各騎手が何を思い、どう乗ったのかが非常に大事になりますし、
今後活躍する馬を見繕うファクターにもなりうると考えています。
レース展開 & 回顧、各騎手の思惑と進路取り
詳細なレース回顧はガチ勢の方にお任せするとして、私は数頭に絞って回顧していこうと思います。
今回の主な登場人物としては、
5枠9番 ドウデュース(鞍上 武豊J)
3枠4番 セリフォス(鞍上 C デムーロJ)
4枠7番 ダノンスコーピオン(鞍上 松山J)
サブとしては、
7枠13番 ジオグリフ(鞍上 ルメールJ)
2枠3番 アルナシーム(鞍上 池添J)
この辺りですね。
ちなみに事前に各馬については、予想段階である程度紹介しています。
また、出走した主な2歳馬の臨戦過程についても紹介しています。ご参考にどうぞ
スタートから振り返るわけですが、最初にある程度、事前情報をいくつか出しておきます。
① 阪神の芝は内が一切伸びない(内ラチから少なくとも10頭分は外でないと伸びない)。
② セリフォスは藤岡祐J → C デムーロJへの乗り替わりで、かつ内めの3枠4番。
➂ ダノンスコーピオンは川田J → 松山Jの乗り替わり。
④ アルナシームは前走で暴走した癖馬で、武豊J → 池添Jへ乗り替わり。かつ内めの2枠3番。
⑤ ジオグリフは長くいい脚を使うタイプで、距離的に考えればマイルは忙しい。
⑥ 距離延長馬や逃げ馬が多く、ハイペースの展開が予想された。
特に注意しておきたいのは、前述した通り、阪神の芝は内が一切伸びないこと。
10Rは特にそうで、あのなかなか逃げを選択しないルメールJですら、
直線で外へ出すために、内枠めのレガトゥスを逃がしています。
10Rは結果的に、そのレガトゥスを外から終始マークしていた、タンタラス(鞍上 C デムーロJ)が押し切ります。
https://race.netkeiba.com/race/result.html?race_id=202109060610
当日のC デムーロJは、外への意識が特に強かったですね。
おそらくは先週のナミュールのことがあって、阪神の内は伸びないことを痛感させられたからでしょう。
詳細は↑に出した記事「【朝日杯FS予想】阪神JFから見る騎手選びの是非と『強い馬』の条件の話」からご確認お願いします。
では、レースを振り返っていきましょう。
まずはスタートから。
以下画像は、JRA公式ページの以下動画から抜粋しています。
https://jra.webcdn.stream.ne.jp/web/jra/onetag2020/eqPcPlayer.html?target=202106090611a
スタート直後ですね。
見ればわかる通り、すでに3番のアルナシームと13番ジオグリフは若干出遅れています。
4番セリフォスもあまりゲートが上手い馬ではないし、鞍上も同様なので、やや出遅れ気味です。
赤丸がアルナシーム、青丸がジオグリフですね。
アルナシームに関しては、この時点で先週のナミュールと同じような状況です。
外に出すなら、思い切ってそちらに舵を切るしかないでしょうが、前走エキサイトして暴走した馬です。
なかなか難しい判断だったと思われます。
レース開始から17秒の地点です。
やはり赤丸アルナシームは内で折り合うしかなく、
青丸ジオグリフはマイルのスピードについていくのに精一杯の状態です。
一方、黒丸ダノンスコーピオンは、やや行きたがる面を見せますが、外へ外へ持ち出しています。
ちなみに、その隣の黄色帽子が今回の勝ち馬ドウデュース & 武豊Jです。
このレースでは逃げ馬がのべ4頭ほど出走しており、おそらく各騎手はハイペースになることを意識していたはずです。
つまり、完璧な体内時計を持っている武豊Jは絶好のペースメーカーですし、その隣についておけば、自分がハイペースでいくことはない。
強い騎手・馬の後ろについておくことが好レースの基本ですが、
今回松山Jはそこそこのポジションを獲得していたんですよね。
3コーナー突入時点。
使える色が3色しかないのでややこしいですが、以降は、
赤丸セリフォス
青丸ダノンスコーピオン
黒丸ドウデュース
で統一します。
ここからはアルナシームもジオグリフも後方待機になるので、あまり話に絡んできません。
主役3頭の位置取りに着目します。
ダノンスコーピオンはドウデュースの前につけました。
個人的にはいいと思います。
なぜなら容易に外に出せるから。
でも松山Jとしては、ペースメーカーである武豊Jより前にいるのは、自分のペースが少し早いかもと感じていたかもしれませんね。
一方セリフォスは内ラチではなく、外に出せるような位置につけました。
直線での備えでしょうね。やはりC デムーロJの頭では、先週のナミュールの記憶がよぎっていると思われます。
ここでダノンスコーピオンがペースを落として、再びドウデュースの真横につけました。
でも私はこれ、悪手だと思うんですよね。
確かに真横につけること自体は悪くない。ペースメーカーの武豊Jと同じペースで進められるし。
ただ、外に出すときにドウデュースより外へ出せるのか?
何度も言っていますが、阪神の内は伸びない。
当然外へ行けば行くほど伸びるに決まっている。
ですがこの松山Jの選択は、ドウデュースより外へは行きませんよ、て言ってるのと同じなんですよね。
それで最後の直線、ドウデュースに伸び勝てるのか?
この時の松山Jにちょっと聞きたいところですね。
個人的にはそうするなら、ペースを落としつつドウデュースの背後につけて直線でついていくか、
そのままドウデュースの真ん前にいた方がよかったと思います。
おそらく川田Jが乗っていたら、後者を選択していたと思います。
ですが川田Jは香港遠征でここにおらず。
つくづくコロナが憎いですね。
4コーナー直前。ここでダノンスコーピオンはドウデュースよりは後ろになりましたが、
ドウデュースの真後ろはスプリットザシーに取られてしまいます。
しかも外への進路もブロックされてます。正直言って微妙な状態ですね。
これがドウデュースの真ん前、それこそ今の画像の外に出してる青帽オタルエバーのポジションにいれば理想的でした。
現状、一応強い馬であるセリフォスの後ろではありますが、
この位置関係ではおそらくセリフォスとドウデュースの間を抜けなければならない。
ちょっと苦しい気がします。それにやはりこの2頭より外へ出した方が伸びると思いますし。
なお、ドウデュース自体はセリフォスの真横につけようとしています。
C デムーロJが外に出すのをさりげなくブロックしに動いているんでしょうね。
逃げ馬達もここは息を入れるタイミング。馬群はぎゅっと凝縮されました。
この時点で明暗は分かれていたのではないかな、と今では思います。
これは直線を向いたタイミング。
この時点でダノンスコーピオンと松山Jは伸びる馬場のギリギリを狙ってるんですよね。
でもそこじゃ伸びきれない。
どう考えても外へ回した方が伸びるに決まっている。
現に連対したドウデュース、セリフォスの両頭はさらに外に出している。
これは、松山Jの内内を周ろうとする意識が裏目に出た結果なのかな、と個人的に思っています。
彼は大阪杯のサリオスの時もそうでしたが、内ラチを通ったり、伸びるところのギリギリを通る傾向が強い。
決してそれが悪いわけでもないし、距離ロスを考えればそれが最善であることも多い。
なんなら開幕週ならそれが上手く働くでしょうね。
でも今回に関しては。
特にダノンスコーピオンという追えば追うほど伸びるタイプの馬で、かつこの馬場との相性が悪かった。
阪神の馬場が開催終了間際の小倉競馬場みたいな芝になっていたのが仇になりましたね。
外に行けば行くほど伸びる馬場。
そこを今回の松山Jが把握していたのか、していなかったのかはわかりません。
ですが、おそらく馬場読みの達人である川田Jなら理解して、大外を回していたはず。
そう思うと、やはりこの結果は悔しいですね。
ダノンスコーピオンの伸びや脚の余し方を見るに、外を回していたら勝ち切れたようにも見える結果だったので。
一方のドウデュースの運びはここまで順調そのものでした。
ですが、ここでアクシデントが発生します。
おそらく距離の関係でモタれたか、セリフォスに押し出されたのだと思うのですが、
ドウデュースの右の青帽子、オタルエバーに外へ押し出されてしまうんですよね。
これはちょっと痛いですが、ある意味伸びる外へ押し出されたからラッキーだったかも。
ちなみに有識者によると、この時武豊Jはこの衝突を先読みして、追い出しを待っていたらしいです。
なぜなら追い出してからぶつけられるより、ぶつけられてから追い出した方がロスが少ないから。
さすがレジェンド。天才すぎる。そりゃこのレース勝つわ、てなもんです。
冷静すぎる判断力ですよ。これができるからこそレジェンドなんですよ。
その看板はまだ腐っていない。
一方、セリフォスは真ん前が完全に開いてフリーに。
そしてダノンスコーピオンは相変わらず中をついている状況。早く外に出してくれと私は思っていました笑
ちなみにこの画像の、内の方でポツンといる黒い帽子はアルナシーム。
1番外のドウデュースの後ろにいる橙帽がジオグリフです。
実はオタルエバーの衝突の件で若干不利を受けています。
まあなくても今回は苦しかったでしょうけど。
直線半ばの地点。
ようやく伸びないことに気づいたのか、ダノンスコーピオンが外に追い出し。
もっと早くからやっとけ。というか、直線入った時に自然と外へ行ってほしかった。
セリフォスとドウデュースの間が開いているので、そこにギリギリ入れるかというところ。
でもセリフォス鞍上のC デムーロJが右鞭を入れているので、おそらくそのスペースはなくなる。
基本的に馬という生き物は、鞭を入れられると、入れられた側と逆の方に移動します。
だからセリフォスの場合は左に動くので、スペースがなくなるという寸法です。
ちなみにドウデュースも右鞭いれてるんですけど、この馬、鞭を入れてもあまり横移動しないんですよね。
だからスペースが完璧に閉じられてしまう。
いくらダノンスコーピオンが追えば伸び、相手の勝ち筋をつぶして僅差で差し切れる馬とは言え、
進路がなければどうしようもありません。
ここから内に切り返しても、間違いなく馬場差で押し切られますし。
この時点でダノンスコーピオンはジエンドです。
やはり3コーナー時点でドウデュースの前につけるか、直線に入った時に自然と外へ出すしか勝ち筋はなかった。
そしてこのどちらかの場合、おそらく勝っていたと思われます。
本命で買っていた身からすればかなり悔しいですね。
しかし松山Jも内への意識、コーナリング、距離ロスを気にするタイプの騎手。
こうなるのも必然だったのかもしれません。
ゴール直前です。
見たらわかりますが、結局ダノンスコーピオンはまた内に切り返しています。が、伸びきれず。
負けたのは確実に馬場差です。
上位3頭、いえ、5頭に差はなかったと思われます。
残り2頭、内の黒帽子アルナシームは、出遅れて内内を通っていたはずなのに4着。
距離ロスを抑えたとはいえ、あの伸びない馬場を通ったことを考えれば能力の高さが窺えます。
外の橙帽ジオグリフは、直線で4mもの向かい風だったにも関わらず、追いこんでよく伸びた5着に来ました。
どう考えても敗因は距離です。なんでマイル選んだんですかね。
喉鳴りとかもあるらしいけど、やっぱり2000からの馬でしょ、ていうのが本音。
サンデーレーシングさんお得意のルメールJの使い分けなんでしょうけど、
それならジオグリフをホープフルに、コマンドラインをここに出す方がよかったのでは感がすごいですね。
適性距離を完全に真逆にしてると思いますよ。
いやまあ、コマンドラインも2000m持たせられると思うけどさ。
というわけで、レース回顧でした。
まとめると、今回のレースの見所は、
① 松山Jが伸びるギリギリのラインを狙いすぎた。
② C デムーロJが前週からの反省で、外への意識がとにかく強かった。
➂ 武豊Jがマジで天才。特に直線の追い出しタイミングが神。勝ったのもある意味必然。
この辺りですね。
ちなみに私の馬券は、
ダノンスコーピオン単勝
ダノンスコーピオンージオグリフ軸3連複と3連単です。
直前で、以下のような3連複も保険で考えていたのですが安いかと思って、
ダノンスコーピオン―ジオグリフ軸だけにしてました。
まあ仮にそうしててもトリガミですし、この負けは潔く認めます。仕方ねえ。
出走各馬について
枠順で。
前走はハイレベル東スポ杯組でしたが、暴走していた馬。
当日のパドックでもテンションが高かったです。
そして案の定出遅れ。
しかし、それでもなお伸びない内を通って4着に食いこんでくるのは間違いなく能力が高い証拠。
気性面が改善されれば大活躍しそうな器ですね。
しばらくはどの路線に行くかわかりませんが、クラシックまでに覚醒してほしい1頭です。
パワー馬場への対応とゲートがカギと思っていました。
前者に関しては鞍上の完璧なエスコートでしっかりカバーされました。名騎乗でしたね。
むしろゲートで若干不利があったので、そこが今回の勝敗を分けたかもしれません。
今後は普通にマイル路線をひた走ってくれればと思います。
ちゃんと乗ればこの馬場でも対応してくれましたし、馬場が少しはマシになっているであろう、
アーリントン→NHKマイル路線が妥当ではないでしょうか。
今年はクラシックにいかないマイラーも多そうな上、層も厚いので楽しみですね。
激戦が予想されます。
当日のパドックでは特にテンションが高いことはなかったです。
おそらく状態は悪くなかった。
ですが、1600mはやはり長いだろうな、という印象です。
マイルG3ぐらいなら好走してきそうですけど。
やはりベストは1400m。次に出るならファルコンS辺りがいいのかな、て印象です。
結構粘りこむ子だし優秀な逃げ馬でもあります。
脚質変更して先行競馬を覚えてもやっていけそうですし、楽しみな1頭であることに変わりはないですね。
前述したように、勝ち筋を捻じ曲げられる実力馬。
今回も川田Jなら、と思わずにはいられなかった。
やはり騎手で明暗を分けたレースでもあったので、
今後は手が合いそうな川田Jに戻して、マイル路線行くか、クラシックに乗せるかしてほしいですね。
まだまだ奥深いところがある馬。
個人的には弥生賞→皐月賞の王道路線を目指してほしいです。ダービーも多分行ける。
菊は現状わからないですけどね。
それにしても、なんとなく去年のステラヴェローチェを彷彿とさせる馬だなあ、と思います。
強いのに人気しなさそうな辺りが特に。
前走のアイビーSとはまた違った競馬をしてきた印象です。
今後の路線が読めないですが、この馬場を対応してきたのだし、
雨で馬場が渋りパワーが必要そうな安田記念も視野に入れ、
直接NHKマイル→安田記念という路線もありだと思います。
走法を見てても好勝負してくれそうですし。
王道で行くなら、アーリントン→NHKマイルが順当ですかね。
弥生賞からクラシックに乗せてもいいでしょうけど。
今回はやや期待されて出走してきましたが、
ぶっちゃけ武豊Jの真後ろという絶好のポジションを取れたわりに、最後全然伸びなかったんですよね。
そう考えるとやや期待外れ感があります。ファンの方には申し訳ないですが。
さすがにまだ馬体が小さいかなあ、て印象です。
パワー馬場にもあっていなかったのかも。
正直言って、まだ重賞級ではないのかな、という評価です。
この馬とヴィアドロローサは非常に判断に迷う2頭でした。
やはり牡馬牝馬のレベルを比較した場合、今年は牡馬の方が強く牝馬は層が薄い印象。
だから、そんなにレベルが高いわけでもなかった京王杯組のラブリイユアアイズが阪神JFに食いこんでこれたのかな、と思います。
このトウシンマカオという馬自体は決して弱くはなかったですが、
展開が合わなかったのもあるし、やはり距離的に1400がベストなんでしょうね。
次走はファルコンS辺りを期待しています。そっちなら好走してきそうな気がします。
最後にこの馬。
やはりマイルは忙しかったようですね。
どうも喉鳴りと、ややかかる癖があるらしいのですが、
札幌2歳Sのパフォーマンスを見た感じ、ポテンシャルは今回走った馬の中でもピカイチです。
おそらく次は弥生賞に出てくると思いますが、かかることを考えたらスプリングSもありうるんですかね。
ですがスプリングSだと皐月賞とのレース間隔が短いので、やはり不利でしょう。
弥生賞行かせて、無難にクラシックを目指してほしいですね。
以上です。
今回は騎手買いの参考にもなりそうなお話もありましたが、
決して松山Jが下手だと言っているわけではないことを、改めて宣言しておきます。
むしろ彼の技術は素晴らしいです。内ラチをまっすぐ走らせるのとか、なかなかできることじゃないですからね。
だから普通なら買いの騎手なんですが、馬場傾向に合うのかを留意する必要がある、てことですね。
それこそが正しい騎手買いの形です。
何度かお話してますけどね笑
では、ここで打鍵を止めさせていただきます。
長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
by 次は有馬記念予想記事も書かねばならない、夜桜 ほとり(2021/12/20)
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