マイルCS振り返りと、引退レースで繋がれていくものの話
こんにちは。こんばんは。夜桜という者です。
今回はマイルCSの振り返りとともに、またコラムのようなものも書こうと思います。
楽しんで読んでいただければ幸いです。
マイルCS、決着
まず最初に、
グランアレグリア、おめでとう!
そして、お疲れさまでした。
これを言いたかった。この記事を書いている理由の半分以上はこれです。そんなレースでした。
彼女が直線で大外から伸びてきた時、きっと競馬ファンのみんながみんな、私と同じ気持ちで彼女の最後の雄姿を目に焼き付けていたと思う。それぐらい鮮烈な引退レースでした。
ちなみに私が買った馬券での本命はグランアレグリアではなかったし、むしろ彼女が馬券圏外に飛ぶ方がオッズがつくというもの。
にも関わらず彼女の最後の末脚を、あの異次元の瞬足を応援していたのは、そんなはした金なんかよりよっぽど価値のあるレースが目の前で展開されていたから。
これぞまさに競馬、というレースでした。やっぱり競馬はこうでなくちゃ、と思いました。
ここまで散々称賛しましたが、一方で私は、戦前まで彼女が馬券外に飛ぶ可能性をずっと言及していました。
実際その可能性が具現化するかもしれないレベルで、彼女の状態は万全ではなかった。
そして前日までの傾向を見るに、馬場も彼女の味方をしない公算も高かった。
しかしそれでもなお、彼女に勝ってほしいという気持ちも抱きつつ、馬券的には飛んでくれた方が+という、競馬ファンと馬券買いの自己矛盾にひたすら悩まされていました。きっとそんな方は多かったはず。
その悩みすらも一瞬で吹き飛ばすような、お見事のレースでした。
大変失礼しました。
やはりあなたは最強のマイラー女王です。
ゆっくり休んで、次はお母さんとして頑張ってください。
引退レースの話
称賛していたらキリがありませんね笑
というわけで、またもや関連するコラム的な話をば。
例によって、ちゃんとこの後の話にまで繋がるネタにしているつもりです。
よければついてきてくださると幸いです。
いや興味ない、という方は、目次からお好きな項に飛んでください。
これまで競馬について色々書いてきましたが、私の競馬歴自体は浅いです。
今年で6年ぐらい。まともに参戦し始めたのは……そう、あの名馬の引退レースでした。
その名馬の名は、ゴールドシップ。
いまやウマ娘を通して様々な人にも知れ渡っている希代の個性派。
彼の引退レースである2015年・有馬記念こそが、私のデビュー戦でした。
購入馬券は今や記憶の彼方に飛んでいますが、
ステイヤーズSで飛んでくるように勝利をかっさらっていった生粋のステイヤー・アルバート。
1枠1番だとやたら馬券に絡むことで一部有名だったヒットザターゲット。
そしてなんとなく名前だけ知っていたゴールドシップ。
この3頭が中心の馬券構成だったことだけはよく覚えています。今思うと穴馬券しか買ってねえな。
レースが始まり、テレビの前で観戦。
スタートして中盤が過ぎ、3コーナーに差し掛かったところで、やけにテレビから聞こえる歓声が大きくなったことをよく覚えています。当時はよくわかっていなかったですが、今思えばあれは、ゴールドシップが復活したかのような目覚ましい動きで、まくっていった時に上がった歓声でした。
みなさんご存知のように、ゴールドシップは8着に敗北。
勝ったのは穴どころのゴールドアクター&吉田隼人Jのコンビ。
最強の2勝馬・サウンズオブアースは安定の2着を死守、
後の魔王である当時の3歳馬・キタサンブラックが3着に入線。
そしてゴール直前で今年の菊花賞2着・オーソクレースの母マリアライトがものすごい末脚で迫り4着でした。
ただ、体感ではゴールの瞬間より、3コーナーでの歓声の方が大きかった。
やはり名馬の引退レースというのは、人を熱くさせるのでしょう。
今思うと、あれもまさに競馬というドラマでした。
そしてゴールドシップの『最強』の名は、同じゴールドを冠する、ゴールドアクターに渡ったのでした。
そうですね。競馬というドラマは、こうしたある種の繋がりのもと、編みこまれていくのでしょう。
マイルCSまでの流れと馬券反省
もちろん、マイルCSまでの流れにもやはりドラマがあります。
特にG1当日というのは、騎手たちによる伸びる馬場探しも大事なファクターになっています。
やはり、レースは当日の朝からすでに始まっているんですね。
今の阪神の馬場は、前日から見れば外差しの馬場。しかも先週のエリザベス女王杯から見るにディープ産駒は止まりやすく、パワーのある子が次々馬券内に入線している。
ゆえにスピード系の馬に騎乗予定の騎手達は、自分達が優位に進められる馬場を考慮する必要があるわけですね。
こういう時に頼りになる騎手は2人。川田Jと福永Jです。
特に福永Jは、毎朝馬場を確認しにターフを歩くそうです。
そうした動きをバカにするおろかな馬券買いもいるようですが、はっきり言って福永Jをバカにする馬券買いはろくでもないと言っても過言ではないでしょう。
彼は彼なりの言葉選びで、競馬ファンに競馬を楽しんでもらおうと、様々な情報を発信していた方。
確かに独特なところがあるのは認めざるを得ませんが、それをネタとして楽しみこそすれ、彼自身を否定するのは明らかに目が腐っていますね。
間違いなく彼は名手です。そこをはき違えないようにした方がいいですよ。
さて、そういうわけで私は今日も川田Jと福永Jの動きを追っていたのですが、今日の午前の川田Jの動きには目を見張るものがありました。
3Rではディープインパクト産駒のロードレゼルにインを突かせ、見事に快勝。
4Rでも同じくディープインパクト産駒にして、マイルCS出走予定のグレナディアガーズの半弟・アストロフィライトを、同じようにイン差しさせて連勝。
さらに5Rではハーツクライ産駒のセレシオンを普通に乗って3連勝。
ラヴズオンリーユーでBCF&Mターフを制覇した勢いを、そのまま持ち帰ったかのような連勝でした。
勢いに乗った川田Jは大体買いです。彼はそういう時にまとめて勝ち星を量産しがちなんですよね。流れだけで言えば、今日は川田Jの日でした。
しかも3Rに関して言えば、明らかに最初からインを狙った騎乗でした。
おそらく彼の目にはインでも通るラインが見えていたのでしょう。だからこその2連続イン突きだったのだと思います。
一方福永Jも負けていません。
4Rのエピプランセスを、昨日からのセオリー通り外に回して差してくる3着。
9Rではインの状態を試したかったのもあるでしょう、サイードでインを試し馬券内入線ならず。
続く10Rではフラーズダルムを外に回し、川田J騎乗のプログノーシスを追う形で2着。
やはり両者ともに日本の競馬界をしょって立つ人材です。
堅実に馬券内に入れてくる腕はもちろん、馬場を読む能力にも長けている。
日々馬場読みする努力を怠らない彼らの成績が安定しているのは、当然のことです。
ちなみに私は阪神3~5Rで馬券を購入しています(今回は便宜上東京競馬場の反省は省略させていただきます。納得のいく形で馬券を買い、勝負に負けたハズレ方なので)
3Rは好調なキズナ産駒で、状態もよさそうなビジンを複勝軸に。ワイドの相手には、母父父にGiant’s Causeway(Storm Catの血を引く)がいるインディゴブラックを選択。
4Rはこちらも好調なエピファネイア産駒で、パドックでも踏み込みが強いと感じたエピプランセスを複勝軸に。ワイド購入ではどちらもパドックで踏み込みがよかった、コスタボニータとプラティナマリアに流しました。新馬戦なので軽く買うこととし、500円で。
5Rも同じく新馬戦でしたが、パドックでの踏み込みの力から自信があったので、強気に1000円を3連複2点に振る勝負にでました。
選んだ馬、スリーアラモード、キタサンユーダイ、セレシオン、ディライトバローズの4頭で決着すると見ていて、特にスリーアラモード、キタサンユーダイには自信があったのですが、むしろこの2頭が馬券外に飛んでしまいましたね笑
まだまだ馬を見る目が甘いです。
また今日の馬場的に、外目を厚く買う方がよかったですね。3Rもインディゴブラックより、外のパワー系を狙うべきだったようにも思います。まあ結果的に3Rはイン突きが決め手になってたのでなんとも言えませんが笑
ちなみに3~5Rの結果は以下に出します。
https://race.netkeiba.com/race/result.html?race_id=202109050603
https://race.netkeiba.com/race/result.html?race_id=202109050604
https://race.netkeiba.com/race/result.html?race_id=202109050605
ただ5R終了時点で、なにやら今日の馬場は昨日と傾向が一変しているぞ、と感じたので、9R、10Rをケンしたのは正解でした。
今回の学びはこれですね。
・馬場傾向は当日の朝のレースで読み取ること。
なんなら朝一発目の芝のレースは優先度を下げて傾向読みに徹すること。
・馬場傾向は前日から一変することもありうる。なにか読み間違えていると思ったら、一旦ケンを主軸に考えること。
前日から散々阪神はパワー馬場だ、ディープは止まるぞ、と言ってたにも関わらず、ここまでディープディープハーツクライと来ているのです。
さすがに傾向が変わっていると言わざるを得ません。川田Jのイン突きも含めて、非常に頭を悩ませる羽目になりました。
あれだけドヤ顔で指摘していたのに関わらず、馬場がここまで真逆に変化したのです。
これは謝罪せざるを得ません。的外れなことを声高に主張してしまい、申し訳ありませんでした。
ですが、馬場は1日にして変わることがよくわかった日でもありました。今後に生かそうと思いますし、来週からの阪神競馬でも馬場読みが大事になりそうなことがよくわかりましたね。
学びとしてはとても有益だったと思います。
ええ、そういうわけで、日曜の馬場は土曜から真逆のスピード馬場に。
つまりディープがくる馬場に様変わり。グランアレグリアに運が向いてきましたね。
9Rも10Rもそんなスピード系の決着になったので、これはもういよいよパワー馬場ではなくなっていたところがあります。しかも内も外もそれなりに伸びる状態、という情報も落ちていました。
そんな流れで、マイルCSのパドックの時間がやってまいりました。
マイルCS振り返り
私はパドックで馬の取捨を選択することができるのは、せいぜい1勝クラスまでと若駒戦だけと思っています。もしくは全くやるつもりがないレースをやるときですね(そういう場合は大抵予想も大してできてないはずなので、ケンするのが正解であることが大半です)。
G1に出てくるようなお馬さんは、やはりどの陣営も勝つために仕上げてくるから、ほぼ誤差なんですよね。せいぜいうまっけを出してないか、興奮しすぎてないか、発汗がないか、というぐらいでしか差がつきません。
ですからG1でパドックを確認する意義は、新馬戦などに比べるとウェイトが下がると思っています。
……だったのですが、今回は珍しく、私の目線であまりパドックがいい馬がいませんでした。
グランアレグリアも二人引き。天皇賞秋でもあまりいい状態ではなかったため、いいとこ前走より若干+評価できるかな程度。間違いなく万全の態勢ではないと思いました。
そのはずです。もともと香港に行くはずが、歩様が怪しく急遽ここでラストランになっているわけですから、急仕上げは否めない。二人引きなのもおそらくその辺りが理由で、テンションが上がる可能性があったからです。
ホウオウアマゾンはそこそこも、クリノガウディ―は気配薄め。
サリオスは太いし、サウンドキアラも若干割引。
反対によさげだったのは、インディチャンプ、シュネルマイスター、ケイデンスコールぐらいでした。
他は、グレナディアガーズは若干寂しく映り、ダーリントンホールはやや入れこみ気味、ダノンザキッドに至っては興奮していて、正直直前まで切ろうかと悩んだぐらいです(結局入れたのは、今日の川田Jの勢いからです)。
率直に言って、G1にしては珍しく、パドックにだいぶ差がありました。
大抵の場合はどの馬もよさげに見えるものなのですが。
そんなわけで、馬券購入でひたすら悩みました。
もはやパワー馬場ではなさそう。だけど軸にするには、馬場が味方しつつあるもののグランアレグリアの状態は芳しくない。シュネルマイスターも内が届きそうとはいえ、鞍上も差しが得意でなければ、内枠を引いてて辛い状況。
もはや頭想定できる馬がいなかったですね。もういっそオッズ的においしいインディチャンプ軸を買うべきだったのでは、と今では思います。それでも3着争いになる気がしてならなかったので、割と微妙なチョイスな気がしますが。
結局悩みに悩んで出た結論がこちら。
買い目としては、ロータスランド軸の3連複流し(紐 グランアレグリア、シュネルマイスター、ダノンザキッド、グレナディアガーズ、インディチャンプ)と、ロータスランド単複。
もはや軸が信用できないのであれば、穴軸での3連複が正しいだろうという結論でした。
高めを狙うなら確かに悪くはない手でした。
しかし問題は馬場傾向ですね。パワー馬場ならこれも大いにありだったのですが、今日はもうスピード馬場に切り替わっている。
この時点で私がやるべきは、シュネルマイスター(本命)軸 or ケイデンスコール(穴)軸、あるいはケンだったでしょうね。
実際今回で的中する馬券は3連複でも安い。仮にシュネルマイスター軸に切り替えても下のようなオッズです。ロータスランドを外してケイデンスコール辺りを入れていたとしても、オッズ的にはグランアレグリアが飛ばないと跳ねない。うまいこと傾斜させても払い戻し4000円がせいぜいだったと思います。
スピード馬場と読んだとしてもオッズが安くて手が出づらい。
じゃあケイデンスコール軸ではどうか、と思わないでもないですが、パドックだけで軸にするのはさすがに根拠として弱い。前走も夏負けしてたとはいえ、ここでいきなり激走しそうなほどの雰囲気でもなかったですし。
やはりやるなら穴どころのロータスランドの単複を軽く、だけでよかったレースな気がしますね。
馬券反省的にはこんな感じです。
ちなみにグレナディアガーズに関しては、距離がやや長いと思いつつも、半弟アストロフィライトが馬場に合っていることがわかっていたため外せなかった次第です。
レースとしては、ホウオウアマゾンの逃げからのスロー展開。
サウンドカナロア辺りが競りかけるにしても、大外だしそこまで速いペースにはならないだろうという読みだったので、ここまではOKです。また、サウンドカナロア陣営も控える競馬をすることも考えたい、と言っていたので(Gallop誌の情報)、前に行かない可能性まであったのですが、実際その通りになりました。
ただ読み違いは別のところで発生していました。
軸であるロータスランドの位置ですね。
前に馬を置く形で競馬をしたいと言っていたので、それなりに前の方で、具体的にはホウオウアマゾンの真後ろで競馬するのかな、と想定していたのですが、むしろ好位についてしまいました。
ロータスランドの脚を考えたらそこでは後ろすぎないか、と思いましたが、直線を向いて案の定でした。
全然伸びんww
そうこうしている内に、外からグランアレグリアがやってきて、グレナディアガーズと挟まれて進路がなくなりジ・エンド。まあスピード馬場だもん。しゃあない。
スローでもう少し前を先行するならワンチャン、と思ってましたが、馬場傾向が合ってない以上こうなるでしょうね笑
そうなった瞬間私は馬券的中を諦め、手ごたえが明らかにいいグランアレグリアをひたすら応援していました。
「行け! 行っちまえええ!!」
私の声援も届いたのか、グランアレグリアは豪快な末脚で全てを薙ぎ払いました。
彼女らしいレースぶりで有終の美を飾ってくれたので、わりと納得のいくレースでしたね笑
2着は内から伸びてきたシュネルマイスター。
3着はゲート時点で発汗が目立ったダノンザキッドが、内でジリ伸びしているインディチャンプを差し切り。
内と外、どちらも伸びるも、やはり外の方が分があった感じでしょうかね。
おそらく来週にもこの傾向は続きそうです。
ですが外だけと思ってると、内差しで足元をすくわれそうな感じ。頭は外、穴どころは内のイメージでいいのかな、と思います。
最後に
こうして、グランアレグリアは引退しました。
しかもその『マイル最強』の背中を、次代の最強と目される3歳世代である、シュネルマイスターやダノンザキッドに見せつけて。
このような視点で見ると、去年のあのレースを思い出しますね。
2020年 ジャパンカップ。
三冠馬が3頭揃った世紀の一戦。
あのレースでは最強アーモンドアイが、コントレイルとデアリングタクトにその背中を見せつけ、『最強』というバトンを3歳三冠馬の2頭に繋ぎました。
ゴールドシップからゴールドアクターへバトンを繋いだように。
グランアレグリアから3歳マイラー達へバトンを繋いだように。
そして来週、『最強』であるコントレイルも、ジャパンカップを最後にターフを去る。
この悠久の時を超えて繋がれていくバトンもまた、競馬のロマンであり、ドラマと言っていいでしょう。
さて。
果たして今週末は、コントレイルから誰にバトンが渡るのでしょうか。
楽しみですね。
そんなジャパンカップは11/28 15:40から! 東京『12R』なので、レース番号を間違えないように!
日本の歴代ダービー馬 vs 海外強豪馬の対決のカウントダウンは、もう始まっているぞ!
それでは最後に、グランアレグリアの馬名の由来にちなみ、大歓声で彼女を見送るとしましょう!
本当におめでとう!!!!
by 心の中でスタンディングオベーションしながら彼女を見送る、夜桜 ほとり(2021/11/23)
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