【中山牝馬S】ボンドガール過激派によるボンドガール怪文書 2026年3月5日手記

競馬ボンドガール

Xのプロフィールに書くぐらいだからよほどである。

なぜ夜桜がボンドガールにこだわるのか、まとめていこうと思う。
要は怪文書にお付き合いいただきたいという意味である。ただ、ここに書かれる内容は大体ほかのボンドガール狂信者の気持ちとそう大して変わらないと思う。

この馬との出会いは、厳密に言うならたぶんPOG誌ではあるのだが、当時そこまで高く評価していなかった。「ダノンベルーガの妹か。この子は右もいける子に育ったらいいな」ぐらいのものだった。

兄は故障により満足に右回りで走れない馬で、もっぱら左回りで活躍していた。日本ダービーに出走できる器で、当時はなんと一番人気。しかもあのドウデュースやイクイノックスを差し置いてのものだから、最近競馬を始めた人間でもその期待度の高さは察するものがあるだろう。ただ、古馬になってからはどうにも勝てず、GⅠ常連ではあるものの、といったポジションだった。

ボンドガールはそんな馬の妹。クラシック戦線での兄の活躍を考えても、当然かかる期待は大きい。事実、23年の6月にデビューした同馬は2番人気。のちの二冠牝馬チェルヴィニアが1番人気だったことを考えれば期待の1頭と言っていい。そしてしっかり1着。2着はチェルヴィニア、3着以下も次々勝ち上がり上級戦で活躍しているのだから、レースレベルも決して低くはなかった。

私としては当時、このレースを行きつけのカフェで見ていたのだが、ラップを見てこのレースからクラシックに上がる馬は何頭かいると睨んでいた。そしてそれは現実となった。当然勝馬ボンドガールの評価も高くなった。逃げての結果はあまりいただけなかったものの、走り自体はよかったのだ。

当時の私は前職、かなり平たく言えば競馬メディアを運営する会社に勤めていた。やはり社長も競馬の話をする方で、ある時、話を振ってきた。「いい馬はいるか」と。その時に夜桜は自信満々に言ったのだ。「ボンドガールはGⅠを取れる器だ」と。さすがに同僚はそこまではこの時期で言えるか? と半分笑っていたわけだが、果たしてその結果はどうだろうか。

まさかの0勝である。いや、別にそれ自体は珍しい話でもないのだが、重賞で惜敗を繰り返し続ける名牝になりつつある。

なんでやねん。新馬戦を華々しく飾ったボンドガールはJRA史上でも稀に見るレベルの「勝ち切れない馬」として名を馳せはじめたのである。重ね重ねなんでやねん。

まあなんというか、とにかくこの馬は運がない。とことん不運なのである。

新馬戦の次走サウジアラビアRC1番人気2着はまあわかるものの、次走の矛先に向けた阪神JFを前にまさかの戦線離脱。復帰戦として出走表明した桜花賞は賞金が足りず抽選に回り、まさかの1/3を引いて出走ならず。なんでやねん。そこは2/3引けよ。

仕方なくニュージーランドトロフィーに回り、適距離マイルのGⅠ、NHKマイルCを目指すことにした。当然の権利のようにニュージーランドトロフィーは2着。そしてようやく出走にこぎつけたGⅠ・NHKマイルCは直線で玉突き事故まがいの不利を食らい、17着の大敗を喫した。まあ、ここでスムーズに抜け出せたとしてもよくて2着、現実的に3着ぐらいだったので、気にはしない。

ただ、お前どんだけ運が悪いんだと思った者はそこそこいたんじゃないかと思う。

ここからのボンドガールはとにかく惜敗ばかり。この間、私は単勝を買い紙屑にしているわけだが、全体的な馬券的には馬連やら三連系を買ってしっかり勝っている。でもね、そうじゃない。我々過激派がほしいのはボンドガールの勝利なのである。その日を夢見て単勝を買い続けているのである。

たとえばクイーンS。馬群をかき分け狭いところから伸びてアタマ差2着。当然単勝を買っていた我々はレース映像を見ながらひっくり返るわけだ。それは紫苑Sも、秋華賞も同様。

ボンドガールは懸命に走り、いい感じの末脚で上がってきてアタマ差2着とかで負けるのである。そして我々は現地観戦に行こうが、PCの前だろうが、その絶妙に届かないもどかしさにたまらずひっくり返るのである。おそらく競馬ひっくり返り選手権だけならほかの追随を許さない。そしてそれはもはや様式美なのである

ただ、秋華賞はわりとどうしようもなかった。当初ボンドガール頭の三連単しか買わないつもりだった私ですら、当日のチェルヴィニアの気配があまりに良すぎて、「あれはずるい」と遺言を残しつつ、裏表にしたぐらいだ。それぐらい秋華賞のチェルヴィニアは生涯最高の出来だった。あれはマジでずるい。ちなみに三連単は当たった。いやチェルヴィニア頭の馬券とか外れろよ。無理だとは思ったけど。

東京新聞杯では大穴メイショウチタンがあると思ったから、ボンドガール→メイショウチタン→ブレイディヴェーグの三連単を200円買い、帯を狙っていた。的中あると腰を浮かした瞬間、外からウォーターリヒトがそこまでせんでもええやろ、と言いたくなるレベルの末脚で追い込んできて、帯の夢は散った。なんならウォーターリヒトは切っていた。

惜敗か大敗か。いやもう勝ってくれという思いで我々は単勝を買い続け、そしてひっくり返ってきた。未だにボンドガールが見放されきっていないのは、そうしてひっくり返ってきた勇士たちの執念によるものと言っても過言ではない。いや過言であってほしいのだが

そしておそらくこの馬は東京競馬場を嫌がりだした。ヴィクトリアマイルやアイルランドトロフィーの大敗はメンバー以上に精神的なものと見ている。よりにもよって一番チャンスがある競馬場を嫌いにならないでほしいところだが。そして多分長く脚を使えないので、新潟や中京も微妙に合っていない。なんならマイルもそろそろ短くなってきた感がある。

かく言う私もこの馬はマイルだとずっと思ってきたわけだが。しかし転機が訪れ、1周競馬に希望を見出したのだ。

本当に見放されかけたボンドガールが引退を賭けた小倉牝馬Sでいつものアタマ差2着した時、輝きを見出した者も多いよな? まだ終わっちゃねえと涙したよな?

そろそろひっくり返りすぎて背中が傷むころだろう、同志たちよ。何が最強の1勝馬だ。何が重賞2着記録だ。そんなものはいらない。我々は勝利だけをどん欲に求め続けているのだ。

なめ腐った連中がいくら全自動人気ダイソンと叫ぼうと、我々過激派は屈しない。屈しないったら屈しないのである。そんな風に屈するのはどっかの食いしん坊第三騎士団騎士団長だけでいいのだ。

さあ、勝ちにいこうじゃないか。中山牝馬S。正直洋芝の方が合うんじゃないかと思わないでもないけど、チャンスはチャンスだ。イン突きの神がクイーンSやニュージーランドトロフィーのような競馬を再現すれば、後続に50馬身ぐらいつけても不思議はない

おい待て、今笑ったやつ、そこに直れ。ボンドガール過激派は真面目に50馬身つけると信じている。だてにひっくり返り続けてきたわけではない。もはや我々は修羅なのだ。ボンドガールを信じ続けてきた真の推しをしている。その辺の競馬ファンとはわけが違う。

だから我々は何度でも単勝を買い、ゴール前でボンドガールがアタマ差2着して、テレビだろうが現地だろうが、ひっくり返るのだ。その覚悟がお前にあるか? ないだろう。何度買っても、多分2着になるんだろうなと思いつつも単勝を買い続ける覚悟が。

でもな、我々は本気で願い続けている。今回も結局2着の様式美なんだろうなと思いつつ、でもそれを裏切られる日がくるのを俺たちはずっと待ってるんだよ。それが推しってもんなんだわ。

これが推し活なんだわ。

今回も当然我々はボンドガールの単勝を買う。これは修羅であり意地なのだ。どっかの誰かにGⅠ勝つとか宣言したからだけではなく、勝利を願い続けてきた過去の自分たちの意地とプライドなのだ。それは強く賢く美しい彼女への敬意でもある。

そしてやっぱりどっかで我々はひっくり返っているのだろう。それが2着だからなのか1着だからなのかはわからないけれど、きっとどうあがいても我々はひっくり返っている。だから競馬場でひっくり返っているやつがいたらそいつは間違いなくボンドガール狂信者であり、私のような過激派だ。

さあ、同志よ。見届けようじゃないか。ボンドガールが50馬身つけて勝つところを。

 

ライター名「夜桜 ほとり」

バイオテクノロジーの分野で大学院卒業後、何を血迷ったのかSEに転身。でもなんか違うと思い、競馬メディアの編集になった数年後脱退と紆余曲折にもほどがある人生を歩んでいる。ボンドガール過激派だけあって生き方もむちゃくちゃである。仮にボンドガールが引退したら、リアライズシリウス過激派になることが確定している。進路が定まり将来は安泰だ。

ちなみに書こうと思ったらこの50倍は書いて後続に50馬身つける自信しかなかったので、泣く泣く筆を置いた。