【ジャパンカップ振り返り】コントレイルと競馬ファンの話

2021年12月5日競馬コントレイル

 こんにちは。こんばんは。夜桜という者です。

 今回はジャパンカップ振り返りと称して、日曜日の競馬全体を振り返りたいと思います。
 というのも、コントレイルとコントレイルみたいなとある競馬ファン達の話をしたいからです。ほぼ日記みたいな内容になりますが、こう書きたくなるのも納得の記事になるはずです。
 なので本題のジャパンカップの話自体はだいぶ後になってしまいますが、お付き合いいただければ。

 目次からジャパンカップ振り返りにも飛べるので、過程はいらないという方は飛行機みたいにビュンと飛んでください。



競馬場に着くまでの話

 本題から入れよという意見はとてもよくわかります。
 普段、私が予想印を最初に出しているのは、読者さんが結論から見たいはず、と思っているからです。

 ですが今日の話は、どう考えても当日の朝から最終レースまでのストーリーが大事なのです。
 だから長話で申し訳ないのですが、ここから話をさせてください。


 表題にある通り、11月28日、私は久しぶりに阪神競馬場に参戦していました。
 今の時代、入場制限を強いられてはいますが、G3ぐらいなら割と入場券を取りやすいんですよね。

 今回の目標はただ1つ。

 大切な友人にリアル競馬を知ってもらい、競馬ファンとして競馬を楽しんでもらうこと。

 その方は、私が普段から競馬を嗜みウマ娘をするのを横から見ていました。
 それで自分でもウマ娘を始めて、少しずつ本物の競走馬達のことを調べて、知識を蓄えていっている人です。

 でもリアル競馬のことはまだよく知らない。
 馬連? 馬単? なあに、それ? 
 そんな感じの超初心者さんです。

 だから今日は競馬場に連れて行って、

 思う存分パドックでお馬さんを見たり、
 リアル競馬の楽しさに触れたり、
 お馬さん達の生の走りを見たり

 してもらおうと思っていました。

 そのために、私は何日も前から準備をしていました。
 馬券の買い方をどう教えようか、どうすれば楽しんでもらえるか、どうすれば競馬場内でスムーズに行動できるか。

 その方にも、事前に準備をお願いしていました。
 数日前のLINEではこんな感じ(線で隠しているのは名前のためご勘弁を)

Image

 今思うと、私がイメージしていたのは『身に着けられて』かつ『お金や馬券を入れるための容器』なので、ポーチではなくポシェットだったんですよね……。これは失敗。
 これから皆さんが競馬場デビューの方に持ってくる物を伝える時は、ポーチではなくポシェットを勧めてください笑

 ちなみに上で書いている通り、友人には競馬を何も気にせず楽しんでもらえるように、私が入場料と馬券購入資金を丸々負担する気です。

 だって、こちらから競馬場に行こう行こうと何回も誘って、ようやく行けることになっていたので。
 経費をこちらが持つのは、むしろ当然だと思っていました(あえて言いますが、あくまで個人の意見です)。

 予算は入場料が2人で1000円。渡す馬券購入資金は3000円と設定。
 これは、阪神の全レース(12R分)を全て応援馬券で買って、さらにジャパンカップの応援馬券まで買えるぐらいと想定しての値段設定です。
 合流時間的に1R目からは無理だったので、実際の参戦は4Rから。だから600円は浮いてますね。

 そして買ってもらうのは前述の通り応援馬券
 いわゆる単勝と複勝を1点ずつ買う、通称『がんばれ馬券』です。
 競馬初心者さんが競馬を楽しむなら、これ以上ないぐらいにちょうどいい馬券でしょう。馬連とかワイドとかいきなり言われても混乱しますからね。シンプルに楽しんでもらう気でした。

 いや待て、応援馬券は収支でマイナスになりやすいぞ? その意見はごもっとも。

 ですが私のお金を渡しているのです。
 友人の持ち金がマイナスになることは絶対にない。せいぜい交通費と食費だけです。何も問題がないですね。
 私がマイナスになり、友人が「お金を丸々もらってほんとにいいのか?」と気にするかもしれないというのなら、私がその分勝てばいいだけの話です。

 というわけで私は1週間前から、得意な東京競馬場の予想はもちろん、馬場的に荒れる可能性が高い阪神競馬場の特別レースを結構真面目に予想していました。

 朝の電車の中で白菊賞の全頭振り返りの残りを見たり、思ったより拮抗しているベゴニア賞の1戦1勝馬のレースを見返したりしていました。

 もちろん友人の前でやるわけにはいかないので必死です。合流するギリギリまでずっと頭を悩ませていました。

 特にベゴニア賞。
 当初レッドラディエンスリアグラシアで勝ち負けだろうと思っていたし、オッズ的にも人気どころになりそうだから回避する予定だったのですが、なぜかこの2頭が朝の時点で4, 5番人気になっている。
 見た時、あれ? となったので予想することにしたんですよね。

 レースを見返したら確かに1戦1勝馬のアバンチュリエカミニートデルレイラコンタールも悪くないレースぶり。実績的に優秀なリアグラシアやレッドラディエンス達に拮抗するのも納得でした。しかもそれに続く人気のジャングロも結構怪しい。

 今日は3000円のビハインドをなんとしてでもひっくり返さないといけない日です。

 こういうレースでもチャンスがあるならやるべき。
 最初はレッドラディエンスとリアグラシア2頭軸の3連複を、上記の4頭に流そうと思いました。でもこういう拮抗戦だとオッズがおいしくない。最大15倍ぐらいまで。

 次にレッドラディエンスとリアグラシアの1, 2着固定3連単を4頭に流す手も考えました。確かにオッズはいい。50~70倍ぐらいつく。
 しかしもともと回避予定だったレースで最低でも800円振るのか? そもそもこの拮抗具合ならこの2頭のワンツーで決まるかも結構怪しいぞ、てなっていました。

 その時の葛藤具合がこちら。


 Twitterでも一度は回避と言ってるし、ぶっちゃけ回避が正解だった気もする
 でもビハインドのことを考えたら、となった時に思いついたのが馬単でした。
 こういう拮抗オッズの場合は複系だとつかないのですが、単系ならそれなりにつく。確かに馬単なら5点までに抑えて500円で勝負できる

 というわけで見てみたら、リアグラシアーカミニートデルレイ、リアグラシアーアバンチュリエ、リアグラシアーレッドラディエンスがそれぞれ20倍前後のオッズ。馬連だと10倍切るぐらいだったのでこれはいい。

 昨日からルメールJは馬場を読めてそうで、脚質も合いそうなリアグラシアから、この3点に馬単を流すことを決意。

 そんな葛藤をしながら友人と合流しました。このレースがどうなったかは、勝負レースの項でお話しします。

 合流してから友人は、やたらとモズベッロの話をしていました。個性派だから好きなんだろうなあ、と思いつつも、確かにG1の池添Jだから考慮したい1頭だよなあ、とも私は思っていました。もちろん友人の考えを一切否定せずに、応援してやらないとね、と話を合わせていました。

 阪神競馬場に着くと、歴代の名馬達のゴール前写真が出迎えてくれます。
 阪神競馬場のいいところは、駅から競馬場までが長い代わりに、そういう名レースの振り返りをしながら入り口まで行けることなんですよね。関東民なら中山競馬場に近い感じ。

 ダスカウオッカの写真が向かい合わせになってるのは粋な配置だなあとか、オグリキャップタマモクロスの看板を隣同士にしてるのとかすげえわかってんなあJRA、とか思いつつ。

 2人で足を止め、この時のレースにはこんな背景があるんだとか、この馬はあの馬のお母さんなんだよとか、解説しながら歩きました。
 正直一生そこで話してられるぐらい、足を止めて馬の話をしていました。

 友人もそれを楽しんで聞いてくれているようでした。むしろ率先して足を止めてたのは友人の方でした。
 気づけば観戦予定だった3R開始間際。我々はついに入場しました。


応援馬券と競馬ファンの話

 今回の私は友人のペースに合わせて、普段なら回避するレースも応援馬券を買うことにしていました。

 その方が一緒に楽しめますし、私がいきなり1000円とか打ってたら、友人は「競馬場って想像以上にギャンブル色が強い場所なんだな」と思って楽しめなくなるかもしれないし。

 競馬場は確かに賭場です。
 ですがそれと同時に、夢のテーマパークでもあるのです。
 私が今回友人に伝えたいのは前者の側面ではなく、後者の楽しめる場所、というイメージなのです。

 まあなんにせよ、もともと勝負する気もないレースが続いていたので、私はそれで何も問題なかったです。
 というわけで、普段はやらないダートや障害物競走にも手を出しました。
 以降、QRコードを指で隠してます(私の指でお目を汚して申し訳ないです)が、購入馬券をさらします。

 4R ティントリップ(1番人気で1着 単勝200円 複勝120円 的中)


 5R 二ホンピロマドン(5番人気で4着 単勝オッズ17.6倍)


 6R ムーランシャタン(6番人気で2着 複勝310円 的中)


 7R シューラヴァラ(4番人気で6着 単勝オッズ15.1倍)


 8R メイショウオーギシ(7番人気で2着 複勝360円 的中)
 ここだけ写真を取り忘れてますが、ここまでと同じように応援馬券を買いました。
 この辺から勝負レースが連続して、ゆとりがなくなっていたかもしれないですね。冷静でないのは素直に反省です。

 今計算してみると、パドックだけでよくぞ1000円投資990円バックしたものです。
 数頭で迷ったときはさすがにnetkeibaさんの馬柱を見たんですけど、それにしてもパドックをよく見れていたと思います。これも現地参戦だからこそわかるものですね。

 4Rが当たった時も、
 友人が「なんでお馬さんを見てただけだったのにわかったの?」と目を丸くしていました。
 が、そこは余裕を持った表情で「それは馬を見る目が少しだけいいからだよ」と答えました。

 実際馬を見る目がなければ、パドックだけで6番人気や7番人気の応援馬券なんてそうそう買えないです(自画自賛)。
 しっかし勝つ馬を見極めるのは相変わらず苦手だなあ。

 友人も応援馬券を買ったり、2頭で迷ったらその2頭の複勝を買ったりして、うまいこと当たったりハズれたりしました。というか後半ほどよく当たってた気がします。才能がありますね。
 なんにせよ4Rから全部、自分が買ったお馬さんの行方を追って一喜一憂するぐらいには楽しんでいたようなのでなによりです。この時点で競馬場に連れてきた目的のほとんどを果たせたようなものです。

 競馬場飯をオススメしたら、おいしいおいしい言いながら食べてくれましたし、
 疲れたら給茶スペースで一緒に一服したり、
 蹄の音がすごいからとゴール板前に連れ出しあの心に響く衝撃を肌で感じさせたり
 私が知る限りの競馬場の楽しさは伝えられたのかな、と思います。

 また、5Rの障害戦。
 障害戦が始まると、いつも中山グランドジャンプのシングンマイケルの最期が頭をよぎってしまうので、どうか事故だけはやめてくれ、と特に祈るんですよね。

 ちなみに私の前日のツイートがこれ。

 競馬ファンの在り方とは、全馬全騎手が無事に帰ることを第一とし、その無事を祈ることだとしている私としては、あとはもう無事故で全レースが終わることを祈るのみでした。

 だって競馬場デビューでショッキングな事故とか見たら、
 「競馬は怖い競技なんだ、二度と見たくない」となりかねませんからね。
 特に自分が買って応援している馬がそんなことになったらショックすぎます。

 別に皆さんにそう祈ってね、とは言いませんが、やはり一生無事故がいいに決まっている。
 第二のライスシャワーやシングンマイケル、個人的にはナムラヘイハチローみたいな馬は出てきてほしくないです、マジで。他にも予後不良になった馬はごまんといますが、ここではもう挙げません。悲しいので。

 全馬全騎手が無事で帰ってくるという願いが通じて、本当によかった。

 ……そう思っていました。
 この記事を書き終わった後に知ったのですが、5Rの障害戦に出走していたウインベイランダー号は、レース後に左前肢の粉砕骨折が判明して、その場で安楽死の措置を取られていたそうです。
 私達はゴールした瞬間までしか見ておらず、そのまま昼休憩に向かったので、全馬無事にゴールしたのだとばかり思っていました。

 パドックでは芦毛で目立っていて、ゴルシの子だなあ、と思ったのを覚えています。それゆえに悲しいです。

 この場を借りて、ご冥福をお祈りします。
 そして、ゴールまでよく頑張ってくれました。ゆっくり休んでください。

 もしかしたら私が把握していないだけで、他にもレース後に故障が発生して亡くなったお馬さんがいるのでしょうか。ブルーム号が故障したのは聞いているのですが、命に別状はないとも聞いています。
 もし亡くなった馬がいたら、気づいてやれなくてごめんなさい。
 でも、全馬が立派にゴールしたのは見届けました。その雄姿を心に刻みます。


 

競馬ファンとしての勝負レースの話

 最初の項でもお話ししましたが、私は依然3000円のビハインドを背負ったままです。
 だからこのまま負けて帰るわけにはいきません。やはりお金を渡した相手に気を遣わせるわけにはいかないですからね。

 というわけで朝話していた通り、東京8Rから少額勝負。


東京8R ベゴニア賞(芝1600m)

 ここまでできる限り東京の馬場は追っていました。

 未勝利戦ではウィズグレイスが1:58:5とかいう、お前ほんとに2歳馬か? ってレベルの超高速時計で逃切。
 新馬戦ではサリオスの弟サリエラが1:47:2で、しかも結構な高速ラップで逃げ切っていました。

 馬券に絡む馬もディープが多く、昨日から変わってめちゃくちゃ時計が出る超高速馬場
 しかも珍しく逃げの手に出たルメールJも、内ではなく外めを選んで走っている辺り、彼が馬場を読めていることは明白でした。
 
 この馬場ならコントレイルにめっちゃ合っているし、ジャパンカップのコントレイルにも流れがきてるな、とその時から思っていました

 そんな中、この8Rではそれなりに時計を持っていて、馬場を読めているルメールJ騎乗であるリアグラシア頭で、予定通り馬単を買うことにしました。
 レッドラディエンスは時計が遅そう、ということで頭想定ではなかったですね。

 しかし結果は、ディープ産駒のレッドラディエンスがクビ差でリアグラシアを捉えて馬単の裏ハズレ。
 しかも3着はアバンチュリエで、朝に想定していた3連単で完璧に取れていました。

 ちなみにジャングロとラコンタールを2着から外していたのは、距離延長が怪しいと見ていたからです。3連単の3着には入れてもいいけど(それでもジャングロは最初に外す候補でした)、馬単では外せるという見立てでほぼ想定通り。

 でも予想が完璧でもクビ差でハズれるのが競馬です。

 最善を尽くした立ち回りをして、それを馬券に反映させてもハズれるのが競馬なんです。

 今回の反省は、オッズ的に微妙と思っても、当日までに予想だけはしておくことですね。
 それぐらいの気持ちなら、この3連単を当てるために1000円を打つことができた自信があります。

 実は前日の土曜日にも似たような失敗をしているのですが、それは土曜の振り返りで。
 どちらにしても同じ失敗を繰り返したくないな、と思いました。

 ちなみに友人には、当レースの直線を向いたタイミングで「勝てそう?」と聞かれたのですが、私は「ルメールJ次第やな」と冗談交じりに答えていました。
 馬券を買った後は、もう馬と騎手を信じるしかないですから。
 人事を尽くして天命を待つ、てやつですね。


阪神9R 白菊賞 芝1600m

 東京9Rは、8Rの結果を見て馬場の見極めが甘いのかとも感じたし、そもそも固めの決着と見て回避。
 阪神9Rに挑むことにしました。

 ここからは事前に予想していたレースですね。予想詳細は以下を参考にしてください。
 
 2021/11/27 土曜の競馬場傾向から、日曜の勝負レースを予想してみた
 https://yosakura.blog/post-243/

 軸1頭目は朝にもチェックしていたサウンドビバーチェ
 この馬は全然キレる脚がないですが、パワー馬場でも安定して走れるタイプなのを確認しています。実際前走の未勝利戦も重馬場での勝ち切り。この日はあの激重中京馬場で、しかも神戸新聞杯が開催された日でもありました。それでも問題なく走れているということはおそらくパワー系で間違いない。
 新馬と2走目で勝てなかったのはキレ負けしたから。だからこそ、今回のようなキレがない馬でも活躍できる阪神の馬場には合うし、しかも当日阪神競馬場で活躍していたKingmamboの血が混ざるドゥラメンテ産駒です。
 おあつらえ向きの馬だと思いました。

 もう1頭は事前に指名していたグランデレジーナトップキャストで迷ったのですが、前日とは異なり直線の向かい風がないせいか逃げ残りが目立っていたので、逃げられそうで距離短縮も合いそうなダイワメジャー産駒のトップキャストを選択しました。パワーを考えたら怪しくはあったのですが、前日の1200m戦でダイワメジャーが混ざる血統の子がそれなりに走ってたので、ここならなんとか、という読みでした。

 グランデレジーナもRobertoが混ざってて狙いたかったですが、逃げじゃないし、その時点ではRobertoの血が混ざっていても走ってない子が多かったので選ばなかったという背景もあります。

 紐には、ベルマーレミノル以外の子達を選択。これは単純に、今回は上位人気メンバーがそれなりの実力だったのと、この馬自身が折り合いに問題があり1600mすらもつか怪しいと、過去レースから判断したためです。

 ちなみにトーホウラビアンに関しては入ってくる可能性がそれなりにあると見ていました。
 過去レースを見ていても、ゲートの出はいいのに、二の足で後手を踏んでいる。どう考えても短距離のスピードに合ってないんですよね。というかそもそも菊花賞を勝ったトーホウジャッカルの産駒をなんで短距離デビューさせるのか……。これに関しては持論があるのですが長くなるので割愛させてください。

 ともかくもこの距離でも勝算があるため、トーホウラビアンは入れていたのでした。しかし軸にするのはさすがに勇気がない。マイル以上は初ですから、紐までしか入れられないですよね……。一応当日活躍しているStorm Catの血が混ざっていたのでおそらくパワーはあるだろうし、今回の馬場には合うんじゃないかな、という目算はあったのですが。
 
 というわけで買った馬券がこちら。

 ベルマーレミノル以外の全流しなので、実質サウンドビバーチェとトップキャストのワイドです。買う直前にそう思ったので、一瞬ワイドに切り替えることも考えましたが、トーホウラビアンが入ってくる目を考えたらこのままでいいかとなりました。実際ラビアンが入ればオッズが200倍ついていたので、それで的中すれば今日の勝ちはほぼ確定です。

 そしてレースが始まってから頭を抱えることになりました。
 トーホウラビアンが短距離慣れしているということは、マイルならそこそこダッシュがついて前に行ける可能性が高い。そこに気づいていれば、ラビアン逃げが見える可能性がありました。

 トップキャストはラビアンのすぐ内だったので外から被され、序盤からいきなり折り合いを欠く羽目に。しかもこのトップキャストという馬は前に行かないと全然キレないタイプの馬なので、先頭に行かないと競馬にならないんですよね。

 ぶっちゃけ序盤でこの馬券が外れることはほぼ決まってしまいました

 友人がルージュラテールの応援馬券を買っていたので、一緒に応援する方に切り替えました。
 最後はきわどい勝負で、2人して「どっちだ!? ルージュ勝った!?」とハラハラすることになりました。

 そして結果は以下の通り。

 https://race.netkeiba.com/race/result.html?race_id=202109050810

 ルージュが勝って、友人は計560円の的中。おめでとう!

 そしてラビアンが残ったことにより、やはり3連複は2万円つきました。ほんとにこの馬券は取りたかった。
 でもトーホウラビアンを軸にするのはちょっと無理ですね。初のマイルで距離延長ではそうそう買えないです。せめて1回でもマイル使ってくれてたら軸ワンチャンあったのに。

 ちなみにルージュラテールに関しては、新馬戦であのダノンスコーピオン勝ち筋を無理やりひっくり返されただけだったので強いことは知っていました前走も馬場の悪いところを通っての負けでしたし、さらに距離短縮は合うだろうという見立て。でもパワーに関しての裏付けが取れなくて軸にはできない。しかし外すことも絶対にできない。

 だからレース前に、
 「ルージュラテールって強いの?」と友人に聞かれたときは、
 「その馬は強いよ!」と答えていました。
 おかげで友人の馬券が的中したのでよかったです。応援している子が1着を取れた時の喜びは格別ですから。

 一方、私がもしこの馬券を取るなら、ベットを1000円に増やしてサウンドビバーチェ1頭軸の5頭流し。
 おそらくこれが1番現実的だったでしょうね。その場合ならホワイトターフを距離の観点から外していたでしょうし。

 どちらにせよトップキャストが逃げるための運がなかった。そしてトーホウラビアンのマイル戦に根拠がなかった。トップキャストがせめてもう少し内枠ならなんとかなっていたかもしれませんが、これは仕方ない負けです。


阪神10R 立雲峡S 芝1600m
 いきなりですが、買った馬券がこちら。

 ◎テーオーラフィットは父リオンディーズでKingmambo系。Storm Catの血も混ざっている上、重馬場などでも良績があるので、パワーがあるだろう = 軸にできるだろうと見ての本命。
 ▲ウイングレイテストは前走外枠で泣かされただけだし、ここまでパワー馬場ならRobertoが混ざるスクリーンヒーローの産駒は合うだろうということで相手に。怒りの連闘でも自信がある仕上げということなのだろうし、パドックでも問題なさそうなのでそのまま推しました。

 あとは事前に絞っていたメンツに流したのですが……まさかのテーオーラフィット失速。
 ちなみに結果はこちら。

 https://race.netkeiba.com/race/result.html?race_id=202109050810

 時計が1:32:9と速い。
 テーオーラフィットは早い時計ではよく負けてるんですよね……。

 あれ、さっきまでとなんか傾向が違う! しかも勝ったのはストキャ(Storm Catの略)交じりとは言えディープのラヴユーライヴ!?
 ストキャの血が強いのか、それとも結局スピード馬場なのか!?

 ここでかなり迷いました。
 迷いましたが、ストキャ交じりが来ているのは事実
 そしてノルカソルカが4着とはいえ、結構逃げ粘ったのを見るに、今日は逃げればそこそこ好走できるという情報も落ちました。

 もう後は、馬を信じて芝の最終レースを迎えるしかないと腹をくくりました。

 馬券の敗因は、芝が難しかったからとしか言いようがないです。
 ストキャ交じりのラヴユーライヴをもっと評価上げるべきだったんでしょうけど、今日の馬場を見たらディープ産駒は買いづらい。

 こちらもできる限りの予想をしていたのですから、潔く負けを認めるしかなかったです。まさかあんな速い時計が出るとは思っていなかったですからね……。
 マジで今の阪神の馬場はどうなってるんだ。外回りと内回りで傾向変わりすぎだろ。

 そして横で友人は、応援していたボンオムトゥックちゃんが掲示板に入り、「よく頑張った」という空気を出していました。おかげで私も冷静に競馬を続けられていたように思います。
 ありがとう、友人よ。


東京11R ウェルカムステークス 芝2000m
 これも事前に予想していたレース。でもノースブリッジ軸は結局変えました。

 今の東京はディープの高速馬場だろうと感じていたので、◎をカイザーバローズに変更。
 〇はそのままハーツイストワール。こちらは鞍上が本日絶好調のルメールJなので心配していませんでした。この馬自身も東京得意だし。

 というわけで買った馬券はこちら

 相手は事前に挙げていた通り。
 東京も阪神と同じく前残りがそこそこ発生していたので、前に行きそうなカイザーバローズには合うだろうという読みでした。ハーツイストワールも勝ち味に薄いタイプだけど堅実だし、この馬券なら勝負になるはず。

 しかしこのレースは、ジャックドールがスタートとダッシュがついて上手いこと逃げて、そのまま行ききってしまいました。

 https://race.netkeiba.com/race/result.html?race_id=202105050811&rf=race_submenu

 1コーナーまでの行きっぷりで、これはやられた、と思いました。

 時計も1:58:4と高速決着。
 というかこの馬券でもハズれるのかよ。
 
 しかも穴狙いのシンボは来てるし。というか前に行きそうで、むしろハイペース逃げ崩れを期待していたのに、他の逃げ馬に競りかけるであろうノースブリッジは何してんだ、て感じでした。
 あとで見返したら、スタートの瞬間やや立ち上がって出遅れとる……。

 ついでにカイザーバローズも似たような感じで出遅れてます。
 そういえば海外馬ってみんなゲート上手くないから、海外の騎手もゲートが上手くないと聞きます。C・デムーロJもその例で、やはりゲートが上手くないのかもしれません。

 そこまで織りこんでなかったぜ……。ここまで結構色んなことを考えて予想しているつもりがずっと裏目が続いています。
 
 3000円ビハインドどころか、この時点ですでに投資金額が4000円で990円バックなので、約6000円のビハインド。2倍に膨れてますね。絶体絶命のピンチです。

 まるでコントレイルかのようだと思いました。
 頑張ってるのに、悔しい負けとどうしようもない負けが続く感じ。
 まあ東京10Rは海外騎手のゲート事情を把握しきれてなかったのが敗因。これは想定外の負けですが、次に生かすしかないですね。

 おまけですが、阪神11Rは応援馬券購入でした。
 キタサンブラッの弟エブリワンブラックと、私の競馬仲間の間で阪神が得意と話題エクスパートランを買いました。

 結果はエブリワンブラックが7着(4番人気)、エクスパートランが8着(15番人気)でした。
 どちらもパドックを見て良さそうだから買ったので、後悔はありません。単純に見る目がなかっただけです。

 というかこのクラスぐらいになるとパドックでの良し悪しが誤差になるので、見分けるの結構大変なんですよね……。パドックでの見切りは2勝クラス辺りまでが限界だと思ってます。
 やはり3勝クラスやオープンだといい馬がそろってきますし。
 少なくとも1, 2頭に絞るのはまず無理と思っています。

 ちなみに友人はショウナンナデシコ(2番人気 単勝オッズ5.6倍)の応援馬券を買っていて、見事1着。
 競馬場デビューにして、1着になる馬を2回当てる時点でセンスありすぎです。単勝系に関してはすでに私を越えているんじゃないか?
 ともかくも、この時点で馬券的にも結構満足してくれたんじゃないかな。本当によかった。


ジャパンカップとコントレイルの話

 そしてついにジャパンカップの時間になりました。

 映像でパドックを観ていたのですが、狙っている馬はどの子もよさげ。

 ただシャフリヤールはややテンションが下がり気味。負けるとしたら、やはり前走の不良馬場神戸新聞杯での疲れが残っていたからになりそうだな、と見ていて思いました。
 まあ神戸新聞杯の日に走っていたサウンドビバーチェが、間隔を開ければ問題なく走れるということをさっき証明しています。レース質が違うとはいえ、シャフリヤールも休養を長めにとった分、影響は少ないと予想できますが、なんとも言えないですね。

 他は特に気になる点もなかったので、事前に宣言していた通りの予想に、ディープ産駒のワグネリアンを足して3連単を買うことにしました。以下が事前予想のページ。

 【2021年ジャパンカップ予想】枠とゲートと出遅れの話。
 https://yosakura.blog/post-231/
 
 買った馬券はこちら。

 コントレイル頭 – アリストテレス or キセキ(2, 3着付) – シャフリヤール、ブルーム、キセキorアリストテレス、オーソリティシャドウディーヴァマカヒキワグネリアン

 相手にしたアリストテレスとキセキ、どちらかの前残りを期待していました。そして万が一コントレイルが負けるようなことがあるとすれば、この高速馬場で前残りする可能性があるキセキに差し届かない展開ぐらいだろうと見ていました。

 実際キセキは、あのアーモンドアイワールドレコードを出したときの逃げ馬で、その時も2着に残っていますおそらく今の高速馬場にも対応できる。だから保険をかける意味合いをこめて、または普通にコントレイルが勝ち切っても的中する可能性がある馬券を、ということでワイドを打っておきました。
 馬単とかも100円ぐらい混ぜてもよかったんですけどね。それなりに納得のいく買い方ができたと思います。

 友人はやはりモズベッロ推しのようなので、応援馬券を買うことにしたようです。

 ただ、ジャパンカップでそれだけなのは味気ないだろうとも私は思いました。
 なので「他に応援したい馬はいないの?」と聞いたところ、
 「コントレイルとユーバーレーベンちゃんが気になる」とのこと。

 それなら、モズベッロも含めたワイドボックスを買ってみようかと提案し、友人は初めてのボックス買いをすることになりました。

 友人の馬券は、モズベッロの応援馬券と、コントレイル、ユーバーレーベン、モズベッロの3頭ワイドボックス。

 モズベッロが入れば万馬券になる組み合わせ。G1の池添Jです。モズベッロ自体の調子は見たところ悪くないですし、奇襲で逃げだして前に残るケースだってあるかもしれないから、私は止める必要もないと思っていました。

 というか、G1ではどんなに人気がなくても推しの馬の単複を持っとけ! が持論の私です。止めるわけがありませんね。
 1万円出し始めたらさすがに一旦冷静になろうぜ、と言うとは思いますが汗

 ただ個人的には、池添J補正でコントレイルーモズベッロのワイドを考慮してはいたので(ガチ)、その馬券を持つのはいいよなあ、と思ってました。どうも70倍はつくみたいでしたし。

 なんにせよ展開によってはくるかもしれないコントレイルーユーバーレーベンのワイドがあるのはいい買い方です。
 さては友人、馬券上手だな?(確信)

 ジャパンカップが始まる直前、友人が「モズベッロの単勝200倍ついてるんだけど!」と騒ぎ始めて、いやまあそりゃなあ、と私は苦笑い。でも舞台がよかったとはいえ、一度は大阪杯でコントレイルに先着しているモズベッロにしては人気しなさすぎとは感じました。

 さすがにこの高速馬場に合わないだろう、というのはわかりますが、せめて100倍は切ってもいいような印象がありました。しかもG1の池添Jやぞ? どんな魔法を使われるかわからんぞ?

 そんなこんなでついにジャパンカップの、あのかっこよすぎるファンファーレが鳴りました。

 パドックでのコントレイルは、8キロ減も体は仕上がっているのが見て取れました
 そもそも枠順も、1枠1番でも2枠3番でもなく、1枠2番という偶数番。つまり後入れ

 高速馬場でディープがよく来るという、コントレイルの得意な条件。

 弱点であるゲートは枠の利でカバー弱点である重い馬場でなく、今日はむしろ得意条件
 枠の並びだって悪くないし、決め足勝負になりそうなメンバー構成
 絶対に負けられないラストラン

 これでもかというぐらいに、完全に、コントレイルがくる流れが来ていました

 どうか無事に、そして、お前は本当は最強なんだ、ということを今こそ証明してくれと祈りながら、枠入りを見守っていました。
 1枠2番のコントレイルは最後から2番目の枠入り。これなら駐立でそこまで難儀しないはず。
 福永J、後は任せたぞ!

 枠入りが終わり、スタートしました。この時の私は、コントレイルのゲートしか見ていませんでした。
 スタートは完璧。さすがはゲート日本一、いや世界一のジョッキーだ! コントレイルもよく我慢してくれた! これでいけるぞ!

 先頭はアリストテレス。アリストテレス!?
 あれ、ハナを切るはずのキセキはどこ行った!? 前を見ても赤い帽子がいない。
 さては出遅れたな、と後ろの方を見たら、案の定キセキは最後方。あとでレースを見返したらものの見事に出負けしていました。やっぱゲートが悪い子の奇数番はこれからも要警戒だな、と思いつつ、前に目を移します。

 ワグネリアンが前にとりついている。マイルを使った効果で行き足がよくなったのでしょう。今回の馬場ならその位置は悪くない

 そして次にシャドウディーヴァ。シャドウディーヴァ!?
 いや、お前は後ろで脚をためるのが持ち味だろ!? と思ってから、そういえば似たような展開が頭をよぎりました。
 天皇賞秋でのグランアレグリアの先行策。距離延長でもつか怪しい子はとりあえず前に出すアレですね。確かに考えようによってはありです。実際シャドウディーヴァが前走みたいな追い込みに徹したら、今回の馬場では届かない公算の方が高い。横山典Jの奇襲にして好手だと思いました。

 一方友人は、ネットの情報にはそこそこアンテナが立っている方なので、横山武Jと横山典Jが親子関係であることを知っていますし、よくネタにされているのも知っています。

 だから「息子が前に行ったからついていっちゃったのかな」と冗談交じりに言います。
 私は笑いながら「もしかしたらそうかもなあ」と『ネタとして』乗りました。

 友人の名誉のために断っておきますが、この方はネットでの書きこみしか知らないからそう言っていただけです。
 そして私も、横山親子がそんなことをするような人達ではないと確信しています。 

 それはさておき、レースは1コーナーで内がややごちゃつきつつも通過して縦長の展開に。相変わらず逃げるアリストテレス。

 後ろにいたキセキは外からどんどん捲っていきます。彼はキレ味がない馬。後ろにいたって仕方ないし、勝ちを目指して捲るのは、この時点の緩めのペースなら当たり前
 行ききって、一気に先頭まで来ます。ようやくここで私が当初想定していた並びに。

 が、私の馬券的にはこの時点で相当苦しい。
 アリストテレスは逃げっぽく立ち回ってたのにここでハナを取られてリズムが崩れるし、キセキにいたってはゲート出負けの時点でぶっちゃけ投了レベルです。せめてちゃんと出て普通にハナを取っていればかなりチャンスがあると思っていたのになあ

 とはいえキセキも菊花賞を勝った馬ですから、もしかしたらここから驚異的なスタミナを発揮して残ってくれるかもと一縷の望みを託しつつ、コントレイルの様子を窺います。

 シャフリヤールが1コーナーでやや消耗させられた一方で(詳細に関してはレース回顧ガチ勢の方にお任せします)、コントレイルはここまで特に不利もなく、非常にのびのびと走っているように見えます。

 まるで、父ディープインパクトのラストランのように

 事前に想定していたより外から圧迫されそうな気配もないし、このままいけば勝てる、と向正面で私は確信しました。

 そしてついに栄光への直線へ。

 満を持して外へ追い出すコントレイルと福永J。進路は塞がっていない。
 あとは駆け上がるだけ!

 行け!

 思わず声が漏れます。
 横で友人も、行け、と呟いている。

 行け!!

 1頭、また1頭と抜き去っていく!
 残り200mでシャフリヤールをも抜き去っていく!

 行け!!!
 
 残り100mでオーソリティも置き去りにして、ついに先頭に立った!
 
 行っちまえ!!!!!

 声は控えめに、心の中で叫んだところで、コントレイルがゴールイン!!

 見事に有終の美を飾ってくれました。

 オーソリティとシャフリヤールに『最強』の背中を見せつけて。

 去年のジャパンカップでアーモンドアイからコントレイルに渡った『最強』のバトンは、この2頭に託されました。特にシャフリヤールは万全ではなかったようにも見えましたし、1コーナーで不利がありながらの3着と大健闘。
 次代の『最強』としては負けて強しの内容だったのではないでしょうか。

 それにしてもコントレイルです。
 去年のジャパンカップでは、菊花賞の消耗がありながらも三冠馬3頭対決という世紀の1戦を成立させるために、万全ではない状態のまま参戦して競馬界を盛り上げ、しかもそんな状態でもあのアーモンドアイに迫る2着で、負けて強しの内容でした。
 万全ならどうなっていたのか、今ではもはや知る由もありません。

 次の大阪杯は致命的な弱点『湿った馬場に弱い』ところを突かれてなお、レイパパレ、モズベッロにかわされただけで踏ん張った3着
 真の勇者は戦場を選ばないといいますが、まさにそれです。弱点を突かれてもちゃんと馬券内に残った馬なのです。

 引退前のレースとなる天皇賞秋では、ゲートで手こずり、ポジション争いでスタミナを削られながらも、斤量的な不利もある強豪3歳馬エフフォーリアや、快速の女王グランアレグリアと覇を競い、ぶっちゃけエフフォーリアに有利な馬場の中、惜しくも届かなかった

 でもコントレイルは決して首を下げなかった。
 体調が整わなくても、弱点を突かれても、万全を期しても。それで負けても、まるであのキングヘイローのように幾度の敗北を超えて最強を証明してくれました

 後に聞いた米田アナの、「これが、本来の姿だ! ゴールイン!」という実況は、そんなコントレイルの軌跡を思えば、間違いなく競馬史に残る名実況でした。

 これが競馬なんです。
 どれだけ努力しても。どんなに強い馬だって負ける時はある
 でも、人事を尽くして天命を待てば、必ずコントレイルのように、復活の、勝利のラストランができるのです。

 きっとトウカイテイオーオグリキャップ、三冠馬という意味ではナリタブライアンの復活劇を見てきた競馬ファン達は、これが競馬だと思いながら、涙したのでしょう。

 この閉塞した時代に、競馬ファン達に『三冠馬』という夢と希望を見せ、どんな時も懸命に走り、負けても、負けても、負けても、弱いとなじられても。首を下げずにラストランでついに勝った。

 それが、コントレイルが見せてくれた本当の競馬だったのではないでしょうか。

 私は5年間競馬をやってきましたが、ついに、競馬とはこういうことだったのか、と天啓を得た心地でした

 だから私は、コントレイルのように負け続けても、首だけは下げずに、懸命に生きていこうと思いました

 目から自然と涙がこぼれ、友人に退かれると思って慌ててぬぐいましたが、全然止まってはくれません。

 ただただ「よかった。勝ってくれて本当に良かった」と、コントレイルの栄誉を称え拍手していました。
 友人も「よかった」と呟きながら同じように拍手していました。
 きっと何かを感じていたのだろうと思います。
 

今日がコントレイルによるコントレイルのためのコントレイルの日だった話

 コントレイルが有終の美を飾っても、それで今日の競馬が終わるわけではありません。
 私はこの時、コントレイルが勝ったことにただただ感動していて、最後の勝負レース・京阪杯のことをすっかり忘れていました

 友人が「パドック始まってるよ」と言ってくれなかったら、そのまま帰ってたまである心地でした。映画のエンドロールが終わったのに、まだちょっとだけ続きがあったわぐらいの、そんな感じ。

 友人にはほんとに感謝です。
 というか今日が競馬場デビューの友人に次のレースがあると気づかされるって、どんだけ感動していたんだ、私

 でもそれぐらいのドラマがありました。ふわふわしたような心地でもありました。
 でも勝負の時にこれではいけない
 パドックを観に出た瞬間、気を引き締めました。

 この京阪杯、事前の予想でも書いたのですが、かなり荒れる要素が含まれたレースでした。
 だから最初から、2頭を選んだら、そこ軸で3連複を全流ししようと考えていました。

 候補はすでに決めていて、◎ファストフォースと▲エイティーンガール

 前者は今日絶好調のKingmamboの血が混ざり、しかも前走は躓いたとはいえ、本来なら逃げ馬
 前述した通り今日は逃げれば好走できる馬場です。抑えない手がなかった。
 しかも周りを見ても他に逃げそうな馬もいない(これも事前に予想していた通りです)。

 後者のエイティーンガールは、父ヨハネスブルグにStorm Catが混ざる血統。
 今日の馬場には合いますし、この馬は大体出遅れる。最内枠だとしても関係ありません。最後方から外々周って差す競馬になるなら、いつものことでしょう
 実際このコースでも良績の馬です。その適性を信じようと思いました
 前走の大敗も事前予想で書いた通り、メイケイエールの暴走に二次的に巻きこまれたからですし、何も気になりませんでした。

 詳細は↓の事前予想の記事でお願いします。

 2021/11/27 土曜の競馬場傾向から、日曜の勝負レースを予想してみた
 https://yosakura.blog/post-243/  

 というわけで買った馬券はこちら。

 本線はもちろん3連複の方。実質2-7ワイドなのでワイド1点買いも考えましたが、
 人気どころのシヴァージは前走恵まれただけ。
 レイハリアは大外でくる保障もありません。

 紐荒れの可能性が高いメンバーと場況ですし、上振れ狙いの全流しで正解だったと思います。
 3連単マルチを打てるほど、紐を絞れたとも思えないですし。

 ワイドの方は一応の抑え。

 1のアウィルアウェイはKingmamboが混ざり、しかも先週マイルCSで4着と好走したインディチャンプの妹。この馬場にも合う可能性があると見て抑えることに。

 9のミッキーブリランテも、これまた先週のマイルCS3着ダノンザキッドの兄。やはりこの馬場に合う可能性を見ての抑えでした。

 ファストフォースとエイティーンガールの片方しか来ない場合を想定した保険馬券ですね。
 もちろん2頭ともきた上で、アウィルアウェイやミッキーブリランテも3着内に入線すればさらに上振れです。
 両方こなければ単純に私の見立てが甘かっただけ……というかこんな拮抗レースじゃ仕方ないよなあ、となるだけです。

 今日の収支はこの馬券を買った時点で9500円投資の990円バック。さらに友人に渡した3000円も含めて約11500円のビハインド(コントレイルが勝っても、ジャパンカップの馬券はハズれていましたorz)。

 でもこのレースの本線が的中すればほぼプラスになる。最低払い戻しですら100倍近くであることは前日時点で確認していたので、ここを取るしかないと思っていました

 もうコントレイルと同じです。
 そういえばコントレイルを担当していた矢作先生も、やれることは全部やったと言っていたっけ。

 まさに人事を尽くして天命を待つ
 まるでコントレイルのような馬券の買い方であり、まるでコントレイルのような最後の勝負でした。

 今思うと当日の私は、まるでコントレイルのようだったと思うのです。

 応援馬券では馬を見る能力でほぼトントンにし、でも勝負レースになってからは結構最善を尽くしたつもりなのに負け続け。そしてこれがファイナルレースです。

 一方コントレイルは、三冠を取るまでその高すぎる能力で勝ち続け、でも去年のジャパンカップからは最善を尽くしてもなお躓き続けて、そして今日ラストランで有終の美を飾りました。

 もちろんレースが始まる前の私はそんなことを考えてもいません。
 でも今思うと、やっぱり今日は、コントレイルな日だったと思うのです。

 レースが始まり、エイティーンガールは思った通り出遅れ気味、ファストフォースはちゃんとゲートを出て、そのまま逃げの手に出ました。

 ファストフォースの主戦の鮫島克Jは、ジャパンカップに乘りに行って不在。代打の小崎Jが賢明に逃がしてくれます。
 小崎Jは6Rでもムーランシャタンを懸命に逃がしていました。おそらくこの時のシミュレーションもしていたはず。3コーナーから4コーナーで2番手のサヴォワールエメに圧力をかけられますが、きっとファストフォースと小崎Jならやってくれると私は信じていました

 そしてエイティーンガールは出負けしてからすぐに外へ取りつき、3コーナーから4コーナーにかけて、外からするすると前へ進出していく……!

 くる!
 これはくるんじゃないか!?

 ファストフォースは直線に入った瞬間、先行集団を少し離しました。経済コースをするすると、懸命に懸命に逃げていきます。

 頑張れ、頑張ってくれ!

 残り50m。
 そう、ゴール板付近にいる私達の目の前で、エイティーンガールがついにファストフォースに届きます。
 私は、これは的中あるぞと予感し、そしてどうかファストフォースも踏ん張ってくれと願います

 他にもファストフォースに取りついた馬が2頭。赤い帽子の誰かと、緑の帽子の誰か。
 そして赤い帽子の馬がファストフォースを追い抜き、緑の帽子の馬がファストフォースをギリギリ差し切るか、というところでゴール

 どっちだ!?
 残ったのか!?

 例の緑の帽子に追い抜かれた格好の橙の帽子・シゲルピンクルビーは、友人が応援馬券を購入していたのですが惜しくも体勢的に不利。
 掲示板には入った、という感じ。
 
 でもファストフォースと緑の帽子・アイラブテーラーとの差は割ときわどい。
 ストップモーションの映像が流れました。

 十数センチ。

 クビ差とハナ差の狭間ぐらいの差で、ファストフォースが残していました!!

 きたあああああ!!!!

 1人かがんで、私は地面に向けて雄たけびを上げていました。
 2着の赤い帽子はタイセイビジョン。というか前走メイケイエール被害者の会でワンツーかよ!
 なんにせよシヴァージじゃないならこの馬券は跳ねる

 勝った。
 最後に勝った!

 今日1日、最後の最後まで考えに考え抜いて買ってきた勝負馬券が、最後の最後でようやく的中した!
 まるでコントレイルのように!!

 その時私ははっとしました。

 そうか。今日はコントレイルによるコントレイルのためのコントレイルの日だったんだ。
 私が最後の最後で逆転勝ちを収めることができたのも、やれることを全部やって、天命を待ったからこそ。 

 
 私は努力することが嫌いな人間ですが、今まで『努力』の意味をはき違えていました
 『努力』とは血反吐を吐くような思いをして、嫌なことをすることではない。
 自分にできることを全部やりつくすことをさすんだ、と。
 そう、それこそコントレイルのように。

 これこそが競馬か

 私は拳を握り、喜びをかみしめました。

 空では1つの飛行機が飛び去っていきます。
 きっとコントレイルもそうだと言ってくれているに違いないと思い、同時に私は、
 コントレイルに大事なことを教えられた今日という日を絶対忘れない、と心に固く誓いました

 https://race.netkeiba.com/race/result.html?race_id=202109050812


 レース結果は上の通り。3連複32790円とワイド3670円、計36460円の払い戻し
 大幅プラスです。9500円投資の37450円バック。最初の3000円のビハインドをも軽く越しています。
 もう友人には何か奢ろうという気分でした

 実際友人がいなければこの馬券を取れていなかった
 レースを忘れて帰っていたかもしれません。感謝しなければバチが当たりますね。

 この綺麗なエンドロールから払い戻しに向かいました。
 その途中で通りかかったターフィーショップに友人が目をやります。

 「あれは何?」
 「あそこは競馬グッズを売っているお店だよ、ポ〇モンセンターとかと同じイメージかなあ」

 興味を惹かれたようで、一緒に行くことになりました。
 個人的にも今日の日を忘れないために、コントレイルのグッズがほしくなっていました。

 友人も色んなグッズやお馬さんのぬいぐるみを見て楽しんでくれたようで、一方の私はコントレイルのグッズを買いました。

 それからいっぱいになった財布を抱え、2人で帰路につきました。

 「今日は楽しかった?」
 「うん、楽しかった」

 楽しそうに応えてくれました。

 競馬ファンとしてなにより嬉しい返事でした

 勝負レースが連続していた時はあまり構うことができなくてごめんと謝りましたが、友人はそんなに気にしていなかったようにも見えます。実際はわからないけれど。

 思えば、勝負レースが連続した10R付近で、友人がメンチカツを買ってきてくれていました。
 もしかするとあれが上手いこと今回のゲンをかついでくれたのかなとも思いましたし、
 さらに言えば、この友人と一緒にいる日は、いつも万馬券が当たっているなあとも思いました。

 個人的に大切にしている方だし、もしかしたら友人は福の神なのかもしれません

 今日は、ウインベイランダー号に悲しいことが起こってしまいました。ただ受け入れるしかありません。
 これもまた競馬なのです。

 しかしその一方で、
 友人にリアル競馬の楽しさを知ってもらうことができたし、
 コントレイルは勝って有終の美を飾ってくれたし、
 おまけに私達は2人揃って勝つことができました。

 だから、悲しみも楽しみも喜びも、色んなものを背負って、また明日に向かうしかないとも思うのです

 帰り、ディナーを共にしている時にTwitterをめくっていると、
 レース直後の、感極まった顔を隠そうとして隠しきれていない福永Jの写真が流れてきて、また泣きそうになりました。というか私は泣いていました。
 レース後インタビューの福永Jにも、私まで感極まってしまって、お店の中でなぜか泣いている変な人になっていました。

 いや、今日はそんな変な人が各地に出没していたのではないでしょうか。
 コントレイルと福永Jの軌跡に配慮して、どうかそんな変な人達の奇行を、今日だけは許してやってほしいと思いました。

 その後、友人に感謝を告げて解散。
 本当にありがとう、友人。

 そうして家についた私は、今日という大事な日を忘れないための仕掛けをリュックから取り出しました。

 コントレイルのスマホスタンドです。
 これからはこれを見て、コントレイルのように生きていくことを毎朝思い出せるはずです。
 
 長くなりましたが、コントレイルと、コントレイルな競馬ファンの話は終わります。
 ここまでお付き合いいただいて、本当にありがとうございました。

 最後に一言。
 コントレイル、福永J、本当におめでとう!

 by 正直言って万馬券を取った時よりコントレイルが勝った瞬間の方が感動していた、夜桜 ほとり(2021/12/1)